RPAシナリオの作成手順とは?基本の流れを解説

RPAシナリオの作成手順とは?基本の流れを解説

RPAのシナリオ作成は、対象業務の棚卸しと可視化から始まり、自動化に適した業務の見極め、操作手順の分解、ロボットへの実装、テストを経て本番移行に至るまで、段階を踏んで進める工程です。本記事では、この基本ステップを具体的なシナリオ例とあわせて整理し、独立系ITコンサルタントとして支援先のRPA導入に関わる際に押さえておきたい視点もあわせて紹介します。

RPAシナリオを作成する前の準備

RPAシナリオの作成は、対象業務を棚卸しして可視化し、自動化に適した業務かどうかを見極める準備工程から始まります。準備を丁寧に行うほど、後工程での手戻りを減らせます。

対象業務の棚卸しと可視化

対象業務の棚卸しと可視化では、業務の流れを5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)の単位で、概要レベルから段階的に整理していきます。

総務省が令和7年7月に公表した「自治体におけるRPA導入ガイドブック」では、業務選定の際に実施した棚卸調査やヒアリングの結果を活用して業務の流れを可視化する進め方が示されており、最初から細部まで詳細化するのではなく、業務の入口(インプット)と出口(アウトプット)、各作業で使用する業務システムを明確にしたうえで段階的に詳細化していく方法が推奨されています(総務省「自治体におけるRPA導入ガイドブック」令和7年7月)。あわせて、処理1件あたりの作業時間と、処理待ちの時間も含めたリードタイムを把握しておくと、自動化によってどの程度の効果が見込めるかを見積もる材料になります。

支援先企業へのヒアリングでは、現場の担当者が「いつもの手順」として無意識に行っている例外対応が、聞かれない限り説明されないことが少なくありません。棚卸しの段階でチェックリストを用意し、判断基準や例外処理まで具体的に聞き出しておくことが、後工程の手戻りを防ぐうえで実務上重要になります。

自動化に適した業務かどうかの見極め

自動化に適した業務かどうかは、判断の複雑さ・処理件数・データの電子化状況など複数の観点から見極めます。

総務省の「自治体におけるRPA導入ガイドブック」では、対象業務の判断基準として、定型的で複雑な判断を要しない業務、大量の処理を繰り返し行う業務、即時対応が求められずまとめて処理できる業務、入口となる情報が電子化されている(またはできる)業務、処理対象が安定しており変化が少ない業務という観点が挙げられています。判断が属人的で例外対応が頻発する業務を無理に自動化すると、シナリオの分岐が膨らみ続け、保守負荷がかえって高まる原因になりやすいため注意が必要です。

自動化に適した業務の特徴(定型的・大量処理・判断基準が明確)と、不向きな業務の特徴(例外対応が多い・都度の判断が必要)を左右に対比した比較図

シナリオ作成の基本ステップ

シナリオ作成の基本ステップは、業務フローを操作単位まで分解してフローチャート化したうえで、RPAツール上に実装していく流れになります。

業務フローの分解から操作手順の整理、シナリオへの実装までの3ステップを示すフロー図

操作手順の分解・フローチャート化

操作手順の分解では、現行の業務手順をシステム画面の遷移や入力順序まで一つひとつの操作単位に分解し、判断を伴う箇所はその基準を明文化します。

総務省の「自治体におけるRPA導入ガイドブック」でも、RPAが行う処理は職員が既に行っている操作を再現したものであるとしたうえで、自動化しない部分まで詳細化する必要はなく、業務システムの画面コピーなどを活用しながら一つひとつの動作を整理する進め方が示されています。

以下は、経費精算の一次チェック業務を題材にした、操作手順の分解イメージです(架空の例)。

ステップ

操作内容

補足

1

経費精算システムにログインする

IDとパスワードを入力

2

未処理の申請一覧を検索する

申請日・ステータスで絞り込み

3

対象データをCSV形式でダウンロードする

-

4

Excel上で金額と勘定科目の突合を行う

差異の有無を判定

5

差異があれば担当者へ確認メールを送信する、なければ承認ステータスに更新する

条件分岐が発生する箇所

6

処理結果を実行ログに記録する

-

実際の分解では、この例よりも細かい画面単位の操作まで書き出す必要がありますが、まずはこの粒度で全体の流れを押さえることが実務上の出発点になります。

ロボットへの実装(記録・スクリプト化)

ロボットへの実装では、レコーディング・部品化された機能の組み合わせ・個別編集という3つの方法を組み合わせてシナリオを作成します。

総務省の「自治体におけるRPA導入ガイドブック」では、この3方式を代表的なシナリオ作成方法として整理しています。

  • レコーディング:利用者がパソコン上で行った操作を記録し、その内容からシナリオを自動作成する方法
  • 部品化された機能の利用:Excelの行・列操作や文字列の分割・連結などパッケージ化された機能を組み合わせる方法
  • 個別編集:フローチャート上で処理の順番や条件分岐、繰り返し処理の条件を個別に設定する方法

多くのRPA製品は、これらの方法をツール画面上の操作だけで組み合わせられるよう設計されており、プログラミングの知識がなくても一定水準までシナリオを作成できます。ただし条件分岐や繰り返し処理の条件設定には専門用語も登場するため、ある程度の設計能力は必要になります。シナリオが動くようになった段階で満足せず、想定外の入力やシステム停止といったイレギュラーなケースに備えた例外処理を組み込み、繰り返し処理をサブルーチン化してシナリオの長大化を避け、変数や処理の名称を分かりやすくしておくことが、保守性を高めるうえで有効だとされています。

テスト・運用開始までの流れ

テスト・運用開始までの流れは、例外パターンを含めたテストを行ったうえで、対象範囲を絞って段階的に本番移行する進め方が基本です。

例外パターンのテストから対象範囲を限定した試行運用、段階的な本番移行、効果検証までの4ステップを示すフロー図

例外パターンのテスト

例外パターンのテストでは、実データに近いデータでの動作確認と、1件あたりの処理時間の計測という2つの観点を確認します。

総務省の「自治体におけるRPA導入ガイドブック」では、業務システムの保守環境や研修環境で実データ(またはマスキングした近いデータ)を扱える場合はそれらのデータを使ったテストを行い、シナリオ作成時には想定していなかったデータでエラーが発生しないかを確認する方法が示されています。あわせて、業務システムやWebサイトのレスポンスが遅い場合や画面処理が多い場合には想定以上に時間がかかることがあるため、1件あたりの実行時間を計測し、業務上許容できる範囲かどうかを確認しておく必要があるとされています。実際に、児童扶養手当等の現況届処理をRPAで自動化したある団体の事例では、業務システムの画面遷移が多く1件あたり平均2分の処理時間を要し、対象2万件に対して職員在庁時間帯での実行に限定した結果、期間内に処理が完了せず追加でRPAを導入することになったと報告されています。

本番移行時の注意点

本番移行時の注意点は、停止や誤作動が起きた場合の検知体制と復旧手順を事前に整えたうえで、処理対象を絞って段階的に範囲を広げることです。

総務省の「自治体におけるRPA導入ガイドブック」では、RPAの運用開始直後は動作が安定しにくく、安定して運用できるようになった後も操作対象システムの仕様変更があれば影響を受けるため、停止や誤作動は起きやすいものとして備える必要があるとされています。特にシナリオ作成を外部事業者に委託した場合は、操作方法とあわせて確実に引き継ぎを受けておくことが欠かせません。運用開始直後から全件を対象にするのではなく、処理対象を限定して効果を確認しながら徐々に範囲を広げていく進め方が、リスクを抑えるうえで有効だとされています。

独立コンサルタントとしての活かし方

独立コンサルタントとしてRPA導入を支援する際は、シナリオを作る技術そのものよりも、既存シナリオの設計をレビューし改善提案につなげる視点が評価されやすくなります。

シナリオ設計レビューでの着眼点

編集部独自調査によれば、RPA導入案件に関わる独立系ITコンサルタントの間では、シナリオを一から開発する技術者としてだけでなく、第三者の立場でシナリオをレビューし改善提案ができる人材が重宝される傾向があるとされています。

支援先の担当者が作成したシナリオを第三者の立場でレビューし、例外処理の抜け漏れや保守性の課題を指摘できるかどうかが、開発作業そのものとは別の評価軸になります。レビューの着眼点としては、想定外のデータやシステム停止に対する例外処理が組み込まれているか、変数や処理の名称が分かりやすく付けられているか、担当者の異動後も引き継げる形でシナリオの保守体制が設計されているか、といった点が挙げられます。こうした観点を整理して提示できると、開発作業そのものよりも高い付加価値として評価されやすくなります。

PMO領域のフリーランス案件では月額単価は80〜150万円が標準的な水準とされており(ドメイン知識ベース)、RPA導入プロジェクトでのシナリオ設計レビューや運用保守体制の設計に関わった実務経験は、同様のIT・DX系PMO案件でスキルシートに明記しやすい経験として位置づけられると考えられます。単価交渉の場面でも、開発作業の実績だけでなく、こうしたレビュー・体制設計の経験を具体的に説明できるかどうかが交渉材料の厚みにつながります。

まとめ

まとめると、RPAシナリオの作成は業務の可視化・見極めから、分解・実装、テスト・本番移行までを段階的に進める工程であり、独立コンサルタントにとってはシナリオをレビューする視点を持つことが差別化につながります。

要点の整理

  • 対象業務の棚卸しと可視化を行い、自動化に適した業務かどうかを複数の観点から見極める
  • 操作手順を分解してフローチャート化し、レコーディング・部品化された機能・個別編集を組み合わせてシナリオを実装する
  • 例外パターンを含めたテストを行い、1件あたりの処理時間まで確認したうえで段階的に本番移行する
  • 独立コンサルタントとしては、シナリオ開発だけでなく設計レビューや運用体制の提案ができる視点が評価されやすい

RPA化できる業務の見極めトピックへの導線

RPAシナリオの作成に取り組む前提として、そもそも自動化によってどのような効果とリスクが生まれるのかを整理しておくことも重要です。自動化の効果とリスクを整理するでは、業務効率化の実務ポイントをあわせて解説していますので、シナリオ作成の準備段階で参考にしてみてください。

出典・参考情報

  1. 総務省「自治体におけるRPA導入ガイドブック」(令和7年7月)(2026-09-17参照)

本記事は2026年9月時点の一般的な情報を基に、RPAシナリオ作成の基本的な進め方を独立系ITコンサルタント向けに整理したものです。実際の手順はRPA製品や対象業務によって異なる場合があるため、詳細は各RPA製品の公式サイト・マニュアルでご確認ください。最終更新日:2026年9月17日

Powered by Proconnect
PMO・DX・SAP系コンサルタント案件を無料で探してみる

スキルシートを登録するだけ。専任エージェントが最適な案件を無料でご提案します。

無料でコンサルタント案件を探す
コンサルタントの歩み 編集部

Work-Xが運営するフリーランスコンサルタント向け情報メディア。PMO・BPR・DX・SAP領域の実務情報を発信しています。 運営者情報はこちら。