RPA市場は、生成AIとの連携が進むことで自動化の対象範囲を広げつつあります。本記事では、国内のRPA市場規模の推移と主要ベンダーの動向を複数の調査データから整理したうえで、PMOや業務改善を担う独立系ITコンサルタントの案件動向・求められるスキルにどのような影響が生じているかを解説します。RPA導入プロジェクトの担い手として動く読者にとって、市場全体の方向性を数字と一次情報で押さえておくことは、案件選びや自身の専門性の伸ばし方を判断する材料になります。
RPA市場の動向とフリーランスコンサルタントへの影響
RPA市場の概況
国内市場規模の推移
国内のRPA市場は、調査時点や算出主体によって数値の出し方は異なるものの、複数の民間調査で一貫して拡大基調にあることが示されています。
矢野経済研究所が2020年12月に公表した調査では、2019年度の国内RPA市場規模(事業者売上高ベース)は529億7,000万円で前年度比56.7%増となり、同社は2023年度には1,520億円まで拡大すると予測していました(出典:矢野経済研究所「RPA市場に関する調査を実施(2020年)」)。一方、グローバル調査会社IMARC Groupが公表した推計では、日本のRPA市場規模は2025年時点で9億1,120万米ドル、2034年には57億8,370万米ドル規模まで拡大するとされ、2026〜2034年の年平均成長率は22.79%と見込まれています。円建てと米ドル建て、集計対象の範囲(ツール単体か関連サービスを含むかなど)が調査ごとに異なるため単純な数値比較はできませんが、複数の調査に共通するのは「市場が継続的に拡大局面にある」という方向性です。数字だけを切り出して比較するのではなく、どの調査がどの時点・どの範囲を対象にしているかを踏まえて読むことが実務上は重要です。特に検索結果の上位に出やすい速報的な記事では、算出主体の異なる数値が出典を明示しないまま並べて紹介されているケースも見受けられるため、案件提案や社内説明の資料に転記する際は元の調査名・時点まで遡って確認することをおすすめします。
主要ベンダーの動向
国内のRPAベンダーシェアは、2024年にMicrosoft Power Automateが中堅・大手企業向けで初めて首位となるなど、勢力図の変化が進んでいます。
MM総研が2024年7月に公表した「RPA国内利活用動向調査2024」(2024年3月時点調査)によると、従業員数の多い中堅・大手企業ではRPAの部門浸透率が43%(前回調査比+6ポイント)に伸び、ベンダーシェアはMicrosoft Power Automateが24%で初めて首位に立ちました。中小企業の導入率は15%(前年比+3ポイント)で、シェア1位はコクーの「マクロマン」と「Microsoft Power Automate for desktop」が同率18%で並んでいます。従来国内シェア上位の常連だった純国産ツールに加えて、クラウド型・低コスト型のツールへの乗り換えが進んでいる状況がうかがえます。コンサルタントの立場からは、特定ベンダーの操作方法だけを覚えるのではなく、クライアントが既に導入しているツールの構成を前提に、乗り換え・併存を含めた提案ができるかどうかが評価の分かれ目になりやすい点に注意が必要です。

市場が拡大・変化している背景
人手不足と生産性向上ニーズ
RPA市場拡大の背景には、専門人材の構造的な不足と、限られた人員で生産性を高めたい企業側のニーズがあります。
IT人材は2030年に約79万人不足すると見込まれており、定型業務の自動化によって限られた人員をより付加価値の高い業務に振り向けたいという企業ニーズが、RPA導入の裾野を広げています。とりわけ経理・人事・受発注といったバックオフィス業務では、繰り返し作業をRPAに任せることで、担当者が例外対応や改善提案に時間を割けるようになる点が評価される傾向にあります。加えて、コールセンターの一次対応記録や在庫管理といった部門でも、定型的なデータ入力・突合作業を自動化の対象とする動きが広がっており、対象業務の範囲は経理・人事に限定されない広がりを見せています。
生成AIとの連携トレンド
RPAは単体のルールベース自動化から、生成AIと組み合わせて非定型業務まで対応範囲を広げる段階に移りつつあります。
MM総研の同調査では、生成AIとRPAを組み合わせて本格的に活用している企業は10%にとどまるものの、テスト・部分活用中の企業が21%、準備・検討中の企業が53%にのぼり、多くの企業が実装に向けて動き出している段階にあることが分かります(出典:MM総研「RPA国内利活用動向調査2024」)。従来のRPAは決まった手順を正確に繰り返す作業を得意とする一方、例外処理や非定型的な判断は苦手とされてきました。生成AIとの連携は、この弱点を補い、メール文面の解釈や書類の分類といった判断を伴う工程まで自動化の対象を広げる動きとして注目されています。例えば、問い合わせメールの内容を生成AIが読み取って一次分類したうえで、該当する処理をRPAが実行するといった組み合わせ方が代表的な活用例として紹介される機会が増えています。

市場動向がコンサルタントの働き方に与える影響
PMO/業務改善案件の増減
RPA・生成AIによる業務自動化の広がりは、PMOや業務改善を担う独立系コンサルタントの案件動向にも表れています。
PM/PMO・ITコンサル領域の案件需要は前年同月比で約1.8倍に伸びており(出典:レバテック「ITフリーランス市場動向 2025年6月」)、この背景には、RPA導入プロジェクトそのものよりも、導入前の業務整理・要件定義や、複数ツールを横断した業務設計を担う上流工程の需要拡大があるとみられます。コンサルタントの歩み編集部が複数のエージェント経由の案件情報を確認したところ、RPAツールの操作習得そのものよりも、どの業務をどの順序で自動化するかを整理するPMO・業務改善案件の引き合いが増えているという声が多く聞かれました。RPA導入は「ツールを入れて終わり」ではなく、対象業務の棚卸しや運用ルールの設計を伴う継続的なプロジェクトである点が、独立コンサルタントにとっての参画機会を広げていると考えられます。
求められるスキルの変化
RPA関連の案件で評価されるスキルは、特定ツールの操作スキルから、業務設計・生成AI連携までを見渡せる上流スキルへと重心が移りつつあります。
PMOフリーランスの月額単価は80〜150万円が標準的なレンジで、平均は約120万円、マネジメント寄りの役割では130万円を超える水準もみられます。RPAツール単体の操作スキルに加えて、対象業務の可視化(業務フロー図での整理など)や、生成AIと連携させたシナリオ設計を担える人材への需要が広がっており、特定ベンダーの資格保持だけでなく、業務要件を整理し関係部門と合意形成できる実務スキルが評価される傾向にあります。実際の案件で確認される評価ポイントとしては、次のような項目が挙げられます。
- 対象業務を可視化し、自動化に適した工程とそうでない工程を切り分けられること
- 複数のRPAツール・生成AIサービスを横断して構成を提案できること
- 導入後の運用ルール・例外処理の設計まで見据えて要件を整理できること
RPA関連の案件を含むDX領域全体の単価感については、RPA案件の単価感もあわせてご確認ください。

今後の見通しと備え方
RPA市場は生成AIとの連携を軸にしばらく拡大局面が続くとみられ、独立系コンサルタントにとっては業務自動化の上流工程を担える人材への需要が当面続く見通しです。
国内の複数調査が示す拡大基調と、生成AI連携への企業の関心の高さを踏まえると、RPA単体の操作スキルよりも、業務全体を俯瞰して自動化の優先順位をつけられる人材の価値は当面高い水準を維持すると考えられます。備えとしては、担当した業務の自動化事例を言語化できるようにしておくことや、生成AI関連のプロジェクト経験を積んでおくことが有効です。案件獲得の面では、専門領域に強いエージェントを含め2〜3社程度に登録し、非公開案件を含めた情報源を複数確保しておくことが基本的な進め方とされています。市場の数字を追いかけるだけでなく、担当した自動化プロジェクトの効果を件数・時間削減といった形で言語化できるようにしておくと、次の案件提案の際にも説得力のある実績として活用できます。RPA導入プロジェクトそのものの実態や評価軸については、RPAツールの比較で失敗しないための評価軸もあわせてご参照ください。
出典・参考情報
- 矢野経済研究所「RPA市場に関する調査を実施(2020年)」(2026-09-09参照)
- IMARC Group「Japan Robotic Process Automation Market Report」(2026-09-09参照)
- 株式会社MM総研「RPA国内利活用動向調査2024」プレスリリース(2026-09-09参照)
- レバテック株式会社「ITフリーランス市場動向 2025年6月」(2026-09-09参照)
- コンサルGO「PMOの仕事とは」(2026-09-09参照)
- コエテコキャリア「フリーコンサルにおすすめのエージェント10選【2026最新】」(2026-09-09参照)
本記事は2026年9月時点の情報に基づいています。市場状況・各社の公表データは変動するため、最新情報は各出典元にてご確認ください。
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