ラテラルシンキング研修は、「内容」「講師の実務経験」「演習の量」「自社課題の反映」「受講後のフォロー」の5点を比べると、目的に合うものを選べます。研修を選ぶ立場の人事・企画担当の方や、研修を設計するコンサルタントの方に向けて、研修で扱う内容の目安、5つの比較ポイント、研修後に現場で定着させる方法、効果の測り方を整理しました。内容はコンサルタントの歩み編集部が2026年10月時点で確認した情報に基づきます。
ラテラルシンキング研修の選び方|内容と比較ポイント5つを解説
ラテラルシンキング研修で身につくこと
ラテラルシンキング研修で身につくのは、前提を疑って複数の選択肢を出す考え方と、その出し方の型です。
ラテラルシンキングとは発想を広げる思考法
ラテラルシンキング(水平思考)とは、既存の理論や概念にとらわれず、新しい見方でアイデアを出す思考法です。
エドワード・デボノが1967年ごろに提唱したとされ、論理を積み上げて深掘りする思考を「垂直思考」と呼んだうえで、その対になるものとして位置づけられています。垂直思考が同じ穴を深く掘る作業にたとえられるのに対し、水平思考は別の場所に新しく穴を掘り始める作業に近いと説明されます(Wikipedia「水平思考」、2026-10-13参照)。定義や具体例を先に押さえたい場合は、ラテラルシンキングとは何かの解説が参考になります。
研修を選ぶ際にここで確認しておきたいのは、ラテラルシンキングが「ひらめきの才能」ではなく、演習で鍛えられる型を持つ思考法として扱われている点です。型として教える研修かどうかが、後の比較ポイントの前提になります。
研修が必要になる場面
研修が必要になるのは、既存の方法で答えが出ない課題に、チームとして向き合う場面です。
新しいサービスの企画、業務の進め方の見直し、顧客の要望が曖昧な状態での提案づくりなどでは、前提をそのまま置いたままだと選択肢が狭くなります。また、戦略・DX・IT・データ・AIといった領域では高度人材が不足しているとされ、企業がプロジェクト単位で外部の専門人材を活用する動きも広がっています(ドメイン知識ベース「高度人材の構造的不足」)。社内メンバーも外部のコンサルタントも、課題の置き方から考え直す機会が増えているといえます。
一方で、ラテラルシンキングによる結論は、課題からかけ離れたものになったり、解決につながる確証が持てなかったりすることがあります(ユーキャン「ラテラルシンキングとは?」、2026-10-13参照)。そのため、研修では発想を広げる練習だけでなく、出したアイデアを筋道立てて評価する練習も含まれているかが選ぶ際の分かれ目になります。
研修の主な内容と進め方
研修の主な内容は、例題を使った演習と、発想を鍛える手法のトレーニングの2本立てで構成されるのが一般的です。

ラテラルシンキングの事例を使った演習
事例演習では、答えが一つに決まらない問いを使い、自分が置いた前提に気づく体験をします。
代表的な題材として、13個のオレンジを3人に分ける問いや、500g入りの袋から300gのマカロニを測る問いが知られています(カオナビ人事用語集「ラテラルシンキングとは?」、2026-10-13参照)。割り算で考えると1個余ってしまう場面で、「そのまま分ける」という前提を外すと別の分け方が見えてきます。研修では、こうした題材を使って次の流れで進めるのが一般的です。
- STEP1 問いを出す:講師が例題を提示し、受講者は個人で答えを書き出します。入力は問題文、出力は最初の答えのメモです。
- STEP2 前提を書き出す:自分の答えが前提にしていた条件を洗い出します。出力は「前提のリスト」です。
- STEP3 別の見方を出す:前提を一つ外して代替案を複数出し、グループで共有します。出力は代替案の一覧です。
- STEP4 実行可能性を確認する:出した案を、費用・期間・影響範囲などの観点で評価します。出力は残す案と見送る案の仕分けです。
例題の面白さだけで終わらず、STEP4まで演習に含まれているかを、研修内容の確認では見ておくとよいでしょう。
ラテラルシンキングの鍛え方のトレーニング
鍛え方のトレーニングでは、思考の視点を切り替える手法を、グループワークで繰り返し練習します。
よく使われる手法には、6つの思考タイプを色の違う帽子に見立てて議論する「6色シンキングハット」や、転用・応用・変更・拡大・縮小・代用・再配置・逆転・結合の9つの観点でアイデアを出す「オズボーンのチェックリスト」があります(ユーキャン「ラテラルシンキングとは?」、2026-10-13参照)。研修によって採用する手法は異なるため、どの手法を何時間使うのかをカリキュラムで確認します。手法の数が多くても、1つあたりの練習時間が短いと、現場での再現が難しくなります。
研修を選ぶ5つの比較ポイント
比較ポイントは、カリキュラムの内容・講師の実務経験・演習の量・自社課題の反映・受講後のフォローの5つです。

比較ポイント | 確認する質問 | 良い状態の目安 |
|---|---|---|
カリキュラムの内容 | 発想を広げる演習と、案を評価する演習の両方があるか | 発散と収束の両方に時間が配分されている |
講師の実務経験 | 講師が企画・提案・業務改善の現場で使った経験を話せるか | 実務での適用例を、守秘に配慮しつつ具体的に説明できる |
演習の量 | 講義と演習の時間配分はどうなっているか | 受講者が手を動かす時間が、講義を聞く時間より多い |
自社課題の反映 | 自社の題材で演習を組めるか | 事前ヒアリングを経て、演習の題材を差し替えられる |
受講後のフォロー | 研修後に復習・相談・再演習の機会があるか | 定着を支える仕組みが、研修の一部として用意されている |
カリキュラムの内容
カリキュラムは、発想を広げる演習と、出した案を評価する演習の両方が入っているものを選びます。
発想を広げる時間だけが長い研修では、アイデアは出ても、課題解決につながるか判断する力が育ちにくくなります。論理的に整理して評価する土台として、ロジカルシンキング研修で扱われる内容も確認しておくと、両者の役割分担が見えてきます。ラテラルシンキング単体の研修か、ロジカルシンキングとの組み合わせかは、受講者の現在の習熟度で決めるのが現実的です。
講師の実務経験
講師は、思考法の知識だけでなく、現場でその思考法を使った経験を具体的に話せる人が適しています。
講師紹介のページでは、肩書きや著書だけでなく、企画・業務改善・提案づくりなどの現場でどのように活用したかが説明されているかを確認します。事前の打ち合わせや体験会で、受講者の業務に近い題材について質問を投げ、答えの具体性を見るのも有効です。
演習の量
演習の量は、講義より受講者が手を動かす時間が長いかどうかで判断します。
水平思考は、説明を聞いて理解するだけでは使えるようになりにくく、例題を解く、前提を書き出す、別の案を出すといった動作を繰り返して身につきます。カリキュラム表に「演習」「ワーク」と書かれていても、実際は講師のデモが中心の場合があります。時間配分を、講義・個人演習・グループ演習に分けて教えてもらうと、実態をつかめます。
自社課題の反映
自社の課題を演習の題材に使える研修は、受講後に現場で使い始めやすくなります。
一般的な例題だけで構成された研修は、受講者が「面白かった」で終わりやすい傾向があります。自社の業務や顧客の悩みを題材にできるかどうかは、事前ヒアリングの有無と、題材の差し替えに対応できる範囲で確認します。機密情報を扱う場合の取り決めも、あわせて確認しておくと安心です。
受講後のフォロー
受講後のフォローは、研修の効果を現場に根づかせるための仕組みとして比べます。
復習用の資料、質問できる窓口、数週間後の再演習やフォローアップの場があるかを確認します。研修が1日で完結し、その後の接点がない場合は、定着の仕組みを社内側で用意する前提で計画する必要があります。
ラテラルシンキングの進め方を研修後に定着させる方法
研修後に定着させるには、現場で使う場面を先に決め、短いサイクルで繰り返し使うことが近道です。
ラテラルシンキングの進め方としては、現状の不満に気づく、なぜと問う、理想を言葉にする、具体案を考える、前提を疑う、という流れが整理されています(カオナビ人事用語集「ラテラルシンキングとは?」、2026-10-13参照)。研修で学んだこの流れを、日々の仕事の中の決まった場面に結びつけて使うと、定着しやすくなります。
現場で使う場面を決める
現場で使う場面は、会議の冒頭や企画の検討段階など、すでに定例化している機会から選びます。
- STEP1 場面を1つ選ぶ:定例会議の議題出し、新しい企画の検討、改善提案の準備など、すでに実施している機会から1つ決めます。出力は「使う場面」の一文です。
- STEP2 問いの型を決める:「この前提を外したらどうなるか」のような、その場面で使う問いを1つ用意します。出力はチームで共有する問いのメモです。
- STEP3 時間を区切って試す:最初の10分程度を、前提を外した案を出す時間にします。出力は代替案の一覧です。
- STEP4 結果を振り返る:出した案のうち、実際に採用した案と見送った案を記録します。出力は次回の改善点です。
この4段階を、まず1つの場面で数週間続けてから広げると、負担を抑えながら習慣にできます。論理的に案を整理する場面では、MECEの使い方や、ロジカルシンキングの例題を使った練習と組み合わせると、発想と整理の両方を鍛えられます。
研修の効果の測り方
研修の効果は、受講直後の反応、演習の出力、現場での使用の3段階に分けて確認します。

ラテラルシンキングは、結論が問題解決につながるかどうかを事前に保証しにくい思考法です(ユーキャン「ラテラルシンキングとは?」、2026-10-13参照)。そのため、売上のような結果指標だけで効果を測ろうとすると、判断が難しくなります。測る段階を分けて、それぞれで確認しやすい指標を選びます。
段階 | 確認すること | 確認の方法の例 |
|---|---|---|
受講直後 | 内容を理解し、使えそうだと感じたか | 受講者アンケートで、理解度と業務での使いやすさを聞く |
演習の出力 | 前提を書き出し、代替案を出せたか | 演習で出た前提リストと代替案の数・質を講師と確認する |
現場での使用 | 定例の場面で問いを使えているか | 数週間後に、使った場面と採用された案を記録で振り返る |
各段階の結果は、次回の研修内容の見直しにも使えます。受講直後の評価が高くても現場での使用が進まない場合は、自社課題の反映や受講後のフォローの設計に課題があると考えられます。
まとめ|目的に合う研修を選ぶ
目的に合う研修は、5つの比較ポイントを自社の課題に当てはめて、優先順位をつけて選べます。
発想を広げる演習と評価する演習の両方があるか、講師が現場経験を話せるか、演習の時間が十分か、自社の題材を使えるか、受講後のフォローがあるか。この5点を表にして候補を並べると、判断の根拠が揃います。そのうえで、研修後に使う場面を決め、効果を3段階で確認していくと、研修が一度きりのイベントで終わりにくくなります。
本記事の内容は2026年10月時点の情報に基づくものであり、研修の効果を保証するものではありません。個別の研修の内容や費用は、各提供元に確認してください。
出典・参考情報
- Wikipedia「水平思考」(2026-10-13参照):定義・提唱者・提唱時期・垂直思考との対比の参照元
- ユーキャン 企業向け研修コラム「ラテラルシンキングとは?」(2026-10-13参照):デメリット・練習方法(6色シンキングハット、オズボーンのチェックリスト)の参照元
- カオナビ人事用語集「ラテラルシンキングとは?」(2026-10-13参照):例題・進め方の参照元
本記事の内容は2026年10月時点の情報に基づきます。思考法の効果や研修の成果を個別に保証するものではありません。
スキルシートを登録するだけ。専任エージェントが最適な案件を無料でご提案します。
無料でコンサルタント案件を探す