営業業務フローの作り方|リード獲得から受注後までの5段階

営業業務フローの作り方|リード獲得から受注後までの5段階

営業業務フローとは、リード獲得から受注後のフォローまでを5つの段階に分け、段階ごとの担当者と成果物を決めて図にしたものです。

営業の進め方は担当者の経験に頼りがちで、同じ部署でも商談の運び方が人によって変わります。この記事では、営業業務を5段階で整理する考え方と、STEP1からSTEP4までの作成手順、営業支援ツールとの連携、形骸化を防ぐ見直しの頻度を、営業企画の担当者や改革を支援するコンサルタントの視点で解説します。内容は2026年10月時点の情報にもとづきます。

営業業務フローを作る目的

営業業務フローを作る目的は、営業の進め方を担当者個人の頭の中から取り出し、組織で共有して改善できる状態にすることです。

営業の属人化がもたらす課題

営業の属人化がもたらす最大の課題は、成果に差が出ても、その原因を誰も説明できなくなることです。進め方が個人の中にあるため、次のような場面で支障が出ます。

  • 引き継ぎ:担当が替わると、商談の経緯や約束事が途切れてしまいます。
  • 評価:受注と失注の理由を、案件どうしで比べられません。
  • 育成:新任者は先輩の動きを見て覚えるしかなく、立ち上がりに時間がかかります。
  • 改善:どの段階で案件が止まりやすいのかを、数えて確かめられません。

フロー化で得られる効果

営業をフロー化すると、抜け漏れの発見、引き継ぎの標準化、改善箇所の特定という3つの効果が得られます。

まず、段階ごとにやることが書き出されるため、人によって抜けていた活動が見つかります。次に、成果物の形が決まるので、担当が替わっても商談の状況が同じ形式で残ります。さらに、段階ごとに案件の件数を数えられるようになり、見込み客リストから商談に進む割合が低い、提案から受注までの期間が長いといった詰まりの位置が見えてきます。

最初から全社の営業を描く必要はありません。ひとつの商材、ひとつのチームから始めて、動かしながら広げるほうが、現場の納得を得やすくなります。

営業業務の流れを5段階で整理する

営業業務は「リード獲得、商談化、提案・見積、受注・契約、受注後のフォロー」の5段階に分けると整理しやすくなります。各段階に、主な担当・入力・成果物を割り当てます。

リード獲得から受注後フォローまでの5段階を矢印でつないだ営業業務フロー図。各段階の下に見込み客リストから契約書、フォロー記録までの成果物が並んでいる。

段階

主な担当

入力(何を見るか)

成果物(何ができるか)

第1段階 リード獲得

マーケティング、インサイドセールス

展示会・問い合わせ・紹介などの接点情報

見込み客リスト

第2段階 商談化

インサイドセールス、営業

見込み客リスト、初回のヒアリング

商談メモ

第3段階 提案・見積

営業、営業企画

商談メモ、自社の価格表

提案書、見積書

第4段階 受注・契約

営業、法務、営業事務

提案書、合意した条件

契約書、受注登録

第5段階 受注後のフォロー

営業、カスタマーサクセス

契約書、導入後の利用状況

フォロー記録

組織によって部署の呼び名や分担は異なるため、表の担当欄は自社の体制に合わせて読み替えてください。

第1段階 リード獲得

リード獲得は、将来の顧客になりうる相手との接点を集め、見込み客リストにまとめる段階です。

入力は、展示会で受け取った名刺、Webサイトの問い合わせ、既存顧客からの紹介などの接点情報です。出力は、会社名・担当者名・接点の経路・獲得日を並べた見込み客リストです。次の段階に進める条件は、連絡先が確認でき、自社の対象とする業種や規模に当てはまっていることとします。

第2段階 商談化

商談化は、見込み客に連絡を取り、課題・予算・導入の時期・決裁者を確認して、商談として扱えるかを判断する段階です。

入力は見込み客リストと初回のヒアリング、出力は商談メモです。商談メモには、確認できた4項目と、確認できなかった項目を分けて残します。確認できなかった項目を空欄のままにせず「未確認」と書いておくと、次の担当者が何を聞くべきかがわかります。

第3段階 提案・見積

提案・見積は、商談メモの課題に対して自社の解決策を示し、金額を提示する段階です。

入力は商談メモと自社の価格表、出力は提案書と見積書です。値引きの上限や社内承認が必要な条件も、この段階に書き込みます。承認の経路が決まっていないと、提案書が出せるまでに日数がかかり、案件が止まる原因になります。

第4段階 受注・契約

受注・契約は、提案の内容と条件を相手と合意し、契約書を取り交わして受注として登録する段階です。

入力は提案書と合意した条件、出力は契約書と受注登録です。法務の確認が入る場合は、確認の依頼先と所要日数をフローに書いておきます。契約書の様式や押印の手順は、営業事務の担当と事前にそろえておくと、受注から請求までの流れが滑らかになります。

第5段階 受注後のフォロー

受注後のフォローは、導入後の利用状況を確認し、追加の要望や更新の時期を把握して、次の商談につなげる段階です。

入力は契約書と導入後の利用状況、出力はフォロー記録です。記録には、連絡した日、相手の反応、追加の要望、次回の連絡予定日を残します。受注で終わりにせず、この段階を営業の流れに含めておくと、既存顧客からの追加提案や紹介につながる情報が蓄積されます。

作成手順 STEP1〜STEP4

作成手順は、現状の洗い出し、担当と成果物の決定、フロー図への作図、運用と見直しの4つのSTEPで進めます。各STEPで、何を見て何を作るのかを決めておきます。

営業業務フローの作成手順STEP1からSTEP4を左から右へ並べた手順図。各ステップの出力として活動一覧、段階別の一覧表、フロー図、改訂版が示されている。

STEP1 現状の営業活動を洗い出す

STEP1では、営業担当者の実際の動きを聞き取り、活動を時系列の一覧にします。入力は営業担当者へのヒアリングと商談管理表、出力は活動一覧です。

  1. 直近の受注案件と失注案件を、それぞれ2〜3件選びます。
  2. 初回の接点から契約、フォローまでの活動を、付箋や表計算ソフトの行に時系列で書き出します。
  3. それぞれの活動に、実施した人と使った資料を書き添えます。

ここで描くのは理想の流れではなく、実際に行われている動きです。担当者によって手順が違う箇所は、そのまま両方を書いておきます。違いが見つかること自体が、フロー化の成果になります。

STEP2 段階ごとの担当と成果物を決める

STEP2では、活動一覧を5段階に振り分け、段階ごとの担当・成果物・次に進む条件を決めます。入力は活動一覧、出力は段階別の一覧表です。

記載の例として、第2段階の商談化を次のように書きます(架空の例です)。

  • 担当:インサイドセールス
  • 成果物:商談メモ(課題・予算・導入時期・決裁者)
  • 次に進む条件:課題と決裁者が確認できている
  • 期限の目安:最初の接点から5営業日以内

成果物は、第1段階から順に、見込み客リスト、商談メモ、提案書、契約書、フォロー記録とします。成果物が決まると、段階が終わったかどうかを、誰が見ても同じ基準で判断できます。

STEP3 フロー図に描く

STEP3では、段階別の一覧表をもとに、担当ごとの帯を設けたフロー図を1枚にまとめます。入力は段階別の一覧表、出力はフロー図です。

  1. 横軸に5段階、縦軸に担当(マーケティング、営業、法務など)を置き、帯状に区切ります。
  2. 開始と終了の記号を置き、各段階の活動を担当の帯の中に並べます。
  3. 判断が入る箇所は「条件を満たす」「満たさない」の2方向に分け、満たさない場合の戻り先を書きます。
  4. 各活動の横に、成果物の名前を添えます。

使う記号は、開始・終了、処理、判断、書類の4種類程度に絞ると、読む人が迷いません。流れ図の記号には、情報処理用流れ図の記号を定めたJIS X 0121(日本産業標準調査会のJIS検索で規格名称を確認できます)があります。描き方の全体像は業務フロー図の書き方【コンサルタント向け】完全ガイド、書式や記載例の考え方は業務フローの作り方|書式の考え方と記載例で理解する作成手順で扱っています。

STEP4 運用して見直す

STEP4では、完成したフロー図を実際の営業で使い、現場の気づきをもとに改訂します。入力はフロー図と案件の進捗の記録、出力は改訂版のフロー図と変更の履歴です。

見直しの頻度は、運用開始の1か月後に現場の担当者から意見を集め、その後は四半期に1回の改訂を基本にします。組織変更や新商材の発売があったときは、時期を待たずに見直します。変更するたびに、日付と変更内容を履歴として残しておくと、なぜ今の形になったのかを後から説明できます。

営業支援ツールとの連携の考え方

営業支援ツールとの連携は、フローの5段階をツール上の案件の進捗区分にそろえ、成果物の保存場所を決めることが基本です。

ツールを先に入れると、ツールの標準の区分に営業のやり方を合わせることになり、現場とのずれが生まれがちです。フローを先に決め、それをツールに設定する順序にします。

  • 案件の進捗区分を、5段階の名前と同じにします。
  • 段階ごとに入力が必要な項目を決めます。商談化なら課題、予算、導入時期、決裁者の4項目などです。
  • 成果物の保存場所を、段階ごとに決めます。提案書と見積書は案件の画面に添付する、といった形です。
  • 段階を移る操作を、フローの「次に進む条件」と対応させます。

製品によって設定できる区分や項目は異なるため、導入前に、自社の段階と項目を設定できるかを確認してください。

外部のコンサルタントがフローの整備やツールの設定を支援する場合、契約は準委任の形が多いとされています。準委任は業務の遂行に対して報酬が発生する形で、成果物の完成を約束するものではありません。フロー図や項目一覧をどこまで納めるのかは、依頼の段階で文書にして確認しておくと、行き違いを防げます。個別の契約判断は、弁護士などの専門家にご相談ください。

営業業務フローが形骸化する原因と防ぎ方

営業業務フローが形骸化する主な原因は、現場の実態とずれたまま更新されないことと、使われる場面が決まっていないことです。原因ごとに、防ぎ方を決めておきます。

月1回の現場の意見集め、四半期に1回の改訂、日々の運用が循環する見直しサイクルの図。中央に定着と書かれている。

原因

起きること

防ぎ方

更新する担当が決まっていない

改訂されず、古い内容のまま残る

フローの管理者を1名置き、四半期に1回の改訂を予定に入れます

現場の実態とずれている

実際の営業はフローと別の動きになる

月1回の営業会議で、止まっている案件の段階を確認する時間を設けます

成果物の記入項目が多い

記録が省かれ、情報が貯まらない

段階ごとの必須項目を5項目程度に絞ります

使われる場面がない

フローの存在が忘れられる

新任者の研修と週次の商談レビューで、フロー図を見ながら進めます

防ぎ方の核は、フローを見る場面を営業の日常の会議や研修に組み込むことです。見直しの頻度は、月1回の現場からの意見集めと、四半期に1回の改訂の二段構えにすると、負担を抑えながら実態に近づけられます。

形骸化の兆しとして、商談管理表の空欄が増える、フロー図に書かれていない手順が現場で定着する、新任者がフロー図を見ずに先輩に聞くといった様子が挙げられます。これらが見られたら、次の見直しを待たずに、現場の担当者と進め方を確認してください。

まとめ|フローを現場に定着させる

営業業務フローは、リード獲得から受注後のフォローまでの5段階に、担当と成果物を割り当てて図にすることで、現場に定着させやすくなります。

  • 5段階は、リード獲得、商談化、提案・見積、受注・契約、受注後のフォローです。
  • 段階ごとの成果物は、見込み客リスト、商談メモ、提案書・見積書、契約書、フォロー記録です。
  • 作成は、洗い出し、担当と成果物の決定、フロー図化、運用と見直しの4STEPで進めます。
  • 見直しは、月1回の意見集めと四半期に1回の改訂を基本にします。

最初は、ひとつの商材とひとつのチームで1枚のフロー図を作り、運用しながら直していくのが現実的です。業務フロー全般の作り方は業務フローの作り方、図の描き方は業務フロー図の書き方もあわせて参考にしてください。

出典・参考情報(最終更新日:2026年10月12日)

  1. 日本産業標準調査会「JIS検索(JIS X 0121 情報処理用流れ図・プログラム網図・システム資源図記号)」(2026-10-12参照)

段階の分け方、担当、成果物、見直しの頻度は編集部の整理にもとづく一例です。自社の体制や商材に合わせて調整してください。契約に関する個別の判断は、弁護士などの専門家にご相談ください。

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