RPAの副業案件の探し方|会社員が週末に始める手順と注意点

RPAの副業案件の探し方|会社員が週末に始める手順と注意点

RPAの副業案件の探し方は、会社の就業規則を確認し、週10時間前後の稼働時間を見積もってから、エージェント・知人の紹介・クラウドソーシングの3つのルートを使い分ける順序が現実的です。本記事では、RPAの実務経験がある会社員が平日の夜や週末に副業を始める前提で、受けやすい案件の種類、報酬の考え方、守秘義務や会社業務との線引き、本業との両立のしかたを整理します。2026年10月時点の情報をもとにしています。

副業でRPA案件を受ける前に

RPA案件を探し始める前に、勤務先で副業が認められているかどうかと、週に割ける時間の2点を決めておく必要があります。

就業規則の確認

副業ができるかどうかは会社ごとに異なるため、最初に就業規則と自分の労働契約の内容を確認します。

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」(2025年3月)は、副業・兼業を始めたいと思ったら、まず勤め先の就業規則や労働契約の内容を確認し、可能かどうかと必要な手続を調べるよう示しています。副業先が決まった後は、会社が定める方法で内容を届け出るとされています。ここでいう副業・兼業には、会社に雇用される形のほか、事業主として行うもの、請負や委任といった形で行うものも含まれます。RPA案件を業務委託で受ける場合も、確認の対象に入ると考えておくと安全です。

同じ資料に掲載されているモデル就業規則(第68条)では、労働者は勤務時間外に他の会社等の業務に従事できるとしたうえで、次の4つのいずれかに当たる場合に、会社が禁止または制限できるとしています。

  • 労務提供上の支障がある場合
  • 企業秘密が漏洩する場合
  • 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
  • 競業により、企業の利益を害する場合

モデル規定は一例で、実際の条文は会社によって異なります。確認するときは、次の項目をメモしておくと、人事や総務に質問するときに話が早く進みます。

  • 副業が「禁止」「許可制」「届出制」のどれか
  • 申請の窓口と、始める前に出す期限
  • 禁止・制限される条件(競業の範囲、守秘義務の定め)
  • 業務委託や請負の形で受ける副業も、届出の対象に含まれるか

条文の読み方に迷う場合は、社内の窓口に確認するか、社会保険労務士などの専門家に相談してください。

稼働時間の見積もり

週10時間前後を目安にするなら、平日の夜と週末に分けて、確保できる時間を先に数字で書き出します。

副業の時間は、手を動かす作業時間だけでは足りません。編集部の実務上の見立てとして、RPA案件では、依頼内容の確認、動作確認の待ち時間、クライアントとの連絡、本番稼働後の問い合わせ対応といった時間が作業とは別に発生します。週10時間のうち、ロボットの作成に使える時間は一部だと見込んでおくと、引き受けすぎを避けられます。

時間帯

確保できる時間(架空の例)

主な用途

平日の夜(1時間×4日)

4時間

連絡対応、動作確認、軽微な修正

土曜

3時間

設計、開発の集中作業

日曜

3時間

テスト、資料の整理、予備枠

合計

10時間

週の稼働の上限として設定

週40時間を稼働率100%とすると、週10時間は稼働率にして約25%です。副業・複数案件の同時進行ができる案件として、M&A系など稼働が20〜50%程度の低稼働案件があるとされています。また、稼働率40%未満の案件を扱うエージェントもあります。副業では、こうした低稼働の案件を軸に探すことになります。

厚生労働省の解説資料は、副業によって就業時間が長くなる可能性があるため、自分で就業時間や健康を管理する必要があると述べています。本業の繁忙期も含めて、無理のない上限を先に決めてください。

就業規則の確認、会社への届出、稼働時間の見積もりという副業開始前の3つの手順を示した図

受けやすい案件

週10時間前後で受けやすいのは、範囲を区切れる小規模な自動化と、すでに動いているロボットの保守です。

小規模な自動化

小規模な自動化は、対象業務が1つに絞られ、完成の条件を決めやすいため、副業で最初に受けるのに向いています。

典型的なのは、Excelへの転記、PDFや帳票からの項目の取り込み、定型メールの送信、Webサイトからの定期的なデータ取得といった作業です。次の表は、架空の依頼を例に、受ける前に確認しておきたい点を整理したものです。

依頼の例(架空)

作業の範囲

受ける前に確認すること

月次の売上CSVをExcelに転記して集計する

1つの業務、画面操作は少なめ

入力ファイルの形式が毎月変わらないか

請求書PDFの項目を会計用の表に取り込む

読み取りと転記、例外の扱いを含む

読み取れない帳票が出たときの対応方法

毎朝、社内システムの数値を取得して報告メールを送る

取得、整形、送信の3工程

社内システムへのアクセス権限を誰が用意するか

使うRPAツールは、クライアントがすでに契約しているものを指定される場合があります。UiPath、Power Automate、WinActorなど、自分が実務で使ったことのあるツールを案件探しの時点で言える状態にしておくと、話が進みやすくなります。スキルを客観的に示す手段としては、RPA資格の種類と活かし方も参考になります。

範囲を絞るときは、想定外のデータが来たときの扱い(例外処理)と、引き渡し後の運用手順書を作るかどうかを、最初に決めておきます。この2点が決まっていないと、見積もった時間を超えて作業が膨らみがちです。

既存ロボットの保守

既存ロボットの保守は、作業が定期的に発生し、時間の見通しを立てやすい案件です。

主な内容は、画面の仕様変更で止まったロボットの修正、エラーの原因調査、軽微な改修、運用手順書の更新です。ロボットを1から作る案件に比べて、1回の作業量が小さく、週に決まった時間を充てる副業の働き方と合いやすい面があります。仕事内容の全体像はRPAエンジニアの仕事内容と将来性でも解説しています。

注意したいのは、次の2点です。

  • 他の人が作ったロボットは、仕様書が残っていないことがあります。調査にかける時間の上限と、引き継ぎの範囲を契約前に決めておきます。
  • 障害の連絡は平日の日中に来ることがあります。本業の勤務時間と重なるため、対応できる曜日と時間帯を先に伝えておきます。

案件の探し方

RPA副業の案件は、エージェント、知人の紹介、クラウドソーシングの3つのルートで探せます。

ルート

向いている場面

注意点

エージェント

稼働の土台をつくり、非公開案件にも接点を持ちたい

中間マージンが発生する。低稼働の案件の取り扱いは会社ごとに異なる

知人の紹介

前職や元同僚から、範囲の小さな依頼を受けたい

条件が口頭になりやすい。競業にならないか確認が必要

クラウドソーシング

小さな案件から実績をつくりたい

手数料が差し引かれる。上流の案件は限られることがある

大手企業や上場企業は、与信・購買規定・機密保持・請求処理の都合から、個人と直接契約しないケースが多いとされ、法人のエージェントを挟む3者間契約が実務上の基本です。案件獲得の順序は、エージェント2〜3社に登録して稼働の土台をつくり、知人などからの紹介を並行して育て、直接取引は実績と信用ができた段階で少数にとどめる形が現実的です。

エージェント

エージェントは、副業でも案件の選択肢と相場感を得られるルートで、登録時に週の稼働可能時間を伝えることが出発点になります。

登録の面談では、次の内容を伝えると案件の紹介が早くなります。

  • 稼働できる時間:週10時間前後、平日の夜と週末など
  • 副業の可否:勤務先に確認済みか、届出が必要か
  • 使えるRPAツールと、開発・保守・導入支援のどれが得意か
  • リモートで対応できるか

独立初期や副業の入り口では、案件数の多い総合型1〜2社に、専門領域に強い特化型1社を加えた2〜3社の併用が定石とされています。4社以上になると連絡や管理の負担が増えるため、まずは2〜3社に絞ります。具体的な社名を挙げる場合の例は次のとおりです。

エージェント

位置づけ・特徴

ProConnect

コンサル特化型。報酬の支払サイトが明確

フリーコンサルタント.jp

総合型。公開案件数が多く、国内最大級の規模

ハイパフォコンサル

総合型。公開案件数が多く、支払サイトは翌月15日払いで業界最速水準

Strategy Consultant Bank

特化型。戦略領域や低稼働の案件に強い

コンサルGO

特化型。大手ファーム出身者向けで、DX・AI領域に強く、リモートや週数日などの柔軟な条件の案件も扱う

コンサル特化型のエージェントは、業務改善や導入支援に近い案件が中心になる場合があります。開発のみの案件を扱っているかどうかは会社ごとに異なるため、登録時に確認してください。中間マージンの相場は一般に20〜30%程度とされますが、コンサル特化型では非公開のことが多く、報酬の支払サイトは月末締め翌月末払い(約40日)が標準です。条件の比較はRPAフリーランスのエージェント比較にまとめています。

知人の紹介

知人の紹介は、範囲の小さな依頼から始めやすい一方で、条件が口頭で済まされやすいため、取引条件を文面に残すことが大切です。

前職の同僚や取引先、勉強会で知り合った人からの依頼は、相手が自分のスキルを理解しているため、話が早く進みます。ただし、紹介元が前職や、勤務先と競合する会社の場合は、競業にならないか就業規則で確認してください。

フリーランス・事業者間取引適正化等法(令和6年11月1日施行)は、フリーランスに業務委託をした事業者に対し、取引条件を書面または電磁的方法(電子メールやSNSのメッセージなど)で明示するよう求めています。公正取引委員会が掲載しているパンフレットによると、明示が必要な事項には、業務委託をした日、業務の内容、納期、報酬の額と支払期日などが含まれます。同じパンフレットは、特定の事業者に従業員として雇用されている個人が副業で業務委託を受けている場合も、この法律の「特定受託事業者」に該当すると説明しています。

知人からの依頼でも、業務の範囲、報酬、支払日、納期をメールなどで残しておくと、のちの認識のずれを防げます。個別の契約内容の判断は、弁護士などの専門家にも確認してください。

クラウドソーシング

クラウドソーシングは、小さな案件から実績をつくる入口として使える一方で、手数料が差し引かれ、条件は案件ごとに差が大きくなります。

範囲が明確な単発の自動化の依頼が見つかりやすく、評価や実績が残る点が利点です。実績が少ないうちは、報酬の水準や依頼者の信頼性を比べるのに時間がかかります。応募する前に、作業の範囲、修正の回数、報酬の支払時期を確認してください。

依頼者の社内システムの画面やデータを扱う場合は、守秘義務の範囲を確認します。個人情報を含むデータを自分のパソコンに保存するかどうかは、依頼者と取り決めてから進めてください。

エージェント、知人の紹介、クラウドソーシングという3つの案件の探し方を並べた比較図

報酬の考え方

報酬は、稼働率で換算する時間単価型と、工数から逆算する成果物単価型の2通りで考えると整理しやすくなります。

時間単価の目安

エージェントが提示する単価は原則100%稼働を前提とした月額で、副業では自分の稼働率に合わせて月収を試算します。

実際の収入は稼働月数と稼働率で変わります。月額の単価をそのまま12倍して年収とみなさず、稼働しない月がある前提で見てください。次の表は、計算の仕組みを示す架空の数字です。RPA案件の実際の水準を示すものではありません。

100%稼働換算の月額(架空)

稼働率

月収の目安

時間単価の目安(月160時間換算)

60万円

約25%(週10時間)

15万円

約3,750円

100万円

約25%(週10時間)

25万円

約6,250円

単価は、工程や役割によっても変わります。戦略策定や要件定義などの上流工程は高単価で、運用・保守寄りの案件では下限が月50〜60万円台まで下がるとされています。ロボットの保守は運用寄りの案件にあたるため、単価の水準も上流の案件とは異なる可能性があります。RPAエンジニアの単価の考え方はRPAエンジニアの年収相場でも触れています。

副業の報酬は、収入から経費を引いた所得で見ます。国税庁のタックスアンサー(No.1900)は、給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合に、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計が20万円を超える人は確定申告が必要としています。ただし、個別の判断は事情で変わるため、税務署や税理士に確認してください。

成果物単価

成果物単価は、完成したロボットに対して報酬を決める方法で、工数に時間単価をかけ、確認の余白を足して見積もります。

請負契約は、成果物の完成・納品が報酬の対象で、完成義務があります。これに対し、準委任契約は業務の遂行そのものに報酬が発生します。コンサルタント領域の案件では準委任が7〜8割とされています。週10時間の副業では、完成義務を負う契約は負担になりやすいため、範囲を絞って引き受けるのが無難です。

見積もりの手順を、架空の例で示します。経費データをExcelに転記するロボットを作る依頼を想定します。

項目

工数(架空)

内容

設計

4時間

現在の作業手順の確認、処理の流れの整理

開発

10時間

ロボットの作成、例外の処理

テスト

4時間

実データでの動作確認

引き渡し

2時間

運用手順書の作成、説明

合計

20時間

時間単価5,000円なら10万円

この合計に、修正や仕様変更への対応としての余白を足した金額を提示します。余白の大きさは案件の不確実さで変わるため、あらかじめ修正の回数と、検収の条件(何をもって完成とするか)を取り決めておきます。仕様が曖昧なまま固定の金額を提示するのは避けてください。

工数を出す、時間単価をかける、確認の余白を足すという成果物単価の見積もり3手順を示した図

注意点

副業の注意点は、案件で知った情報の扱い方と、会社の業務や資産との線引きの2つです。

守秘義務

守秘義務は、本業の秘密を副業に持ち込まないことと、副業先の秘密を本業に持ち込まないことの両方向で守る必要があります。

厚生労働省の解説資料は、副業・兼業を行う際の留意点として、すでに行っている仕事と副業・兼業のそれぞれで知り得た業務上の秘密情報を漏らさないことを挙げています。モデル就業規則でも、企業秘密が漏洩する場合は副業を禁止または制限できる事由の一つです。

RPAの案件には、固有の注意点があります。ロボットは社内システムのIDやパスワード、顧客の個人情報を含むデータを扱うためです。

  • テストには、実データではなく、匿名化したデータやダミーのデータを使う
  • 画面のスクリーンショットを、実績紹介やブログにそのまま載せない
  • 実績として紹介するときは、社名や数値を伏せたうえで、依頼者の了承を得る
  • 契約書の秘密保持条項を読み、保存や持ち出しの条件を確認する

条項の解釈で迷う場合は、弁護士などの専門家に確認してください。

会社業務との線引き

会社業務との線引きは、時間、道具、成果物、取引先の4つについて、副業で「やらないこと」を先に書き出すと判断しやすくなります。

編集部が実務の観点から整理したチェックの例を示します。

  • 時間:勤務時間中や、会社から貸与されたパソコンでの作業はしない
  • 道具:会社のRPAライセンス、アカウント、開発環境を副業に使わない
  • 成果物:本業で作ったロボットやシナリオを、そのまま副業先に流用しない(帰属は就業規則や契約によって決まります)
  • 取引先:勤務先の顧客や、勤務先と競合する会社の案件は、受ける前に会社へ確認する

モデル就業規則は、勤務時間外であれば他の会社等の業務に従事できるとしており、線引きの出発点は勤務時間外であることです。さらに、会社に雇用される形で副業をする場合、原則として本業と副業先の労働時間を通算して管理する必要があると、厚生労働省の解説資料は述べています。業務委託で受ける場合に労働時間の通算がどう扱われるかは、会社の就業規則や会社の窓口に確認してください。

本業との両立

本業との両立は、副業の時間を先に固定し、本業の繁忙期に合わせて稼働を調整できる案件を選ぶことで保ちやすくなります。

時間の管理

時間の管理では、週の稼働枠をカレンダーに先に入れ、月ごとの上限を決めておくことが基本です。

  • 週の枠は、固定した曜日と時間で確保し、予備の枠を1つ残す
  • 本業の繁忙期(決算、システム切り替え、年度末など)は、稼働率を下げるか、新規案件を受けない
  • 平日昼間の定例会議が入る案件は、参加できない旨を契約前に伝える
  • 納期の直前に作業が集中しないよう、中間の確認日を設ける

フルリモートや、週に数日だけ稼働する案件は増えているとされます。こうした条件を最初から明示している案件を選ぶと、本業との調整が楽になります。睡眠時間や休日を削る前提の計画は、本業にも副業にも影響が出るため避けてください。

独立への段階

副業から独立へは、実績、収入の見通し、稼働できる時間の3つがそろってから、段階的に進めるのが現実的です。

  1. 副業でいくつかの案件を完了させ、自分の役割と成果を説明できる実績にする
  2. 稼働を少しずつ増やし、本業との調整が成り立つかを試す(副業の可否や範囲は、会社の規則に従う)
  3. 月額の単価は100%稼働の換算であり、稼働しない月も出ることを踏まえて収入を試算する
  4. 契約と税務の準備を整える

法人との取引が中心になると、インボイス(適格請求書)の登録が実質的に必要になる場面が多く、免税事業者のままだと報酬の値下げを打診される場合もあるとされています。税務の扱いは個別の事情で変わるので、税理士などの専門家に確認してください。

独立する場合も、案件獲得の順序は副業のときと同じで、エージェント2〜3社への登録を土台にします。複業から始める全体の流れはコンサルタントの複業の始め方で解説しています。

最終更新日:2026年10月5日。就業規則、税制、法令の内容は変更されることがあります。副業を始める前に、最新の情報を会社の窓口や公的機関の公式資料で確認してください。

出典・参考情報

  1. 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」(2025年3月)(2026-10-05参照)
  2. 公正取引委員会掲載「フリーランス・事業者間取引適正化等法 ここからはじめる」パンフレット(2026-10-05参照)
  3. 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」(2026-10-05参照)
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