フリーランスコンサルが顧問契約を獲得する方法|継続収入の作り方

フリーランスコンサルが顧問契約を獲得する方法|継続収入の作り方

フリーランスコンサルが顧問契約を獲得するには、単発案件の終盤で次の課題を示し、月次で続ける価値を提案書にして伝えることが基本です。顧問契約は信用と実績が前提になるため、最初から狙うより、エージェント経由の案件で実績を積んだうえで少数から始めるのが現実的です。この記事では、単発案件との違い、提案の組み立て、報酬の考え方、継続の運用までを、実務の流れに沿って整理します。

顧問契約と単発案件の違い

顧問契約は、稼働時間の消化ではなく継続的な助言と判断支援に月額で報酬が支払われる契約で、単発案件より収入の見通しを立てやすくなります。

単発案件は期間ごとに区切られて空白が生じ、顧問契約は毎月途切れず続くことを対比した図

収入の安定性

顧問契約の報酬は月額で決まるため、プロジェクトの合間にも一定額が入り、収入の波が小さくなります。

フリーコンサルの案件は、約70〜80%が準委任契約とされ、報酬は「月額○○万円×稼働率」の形で、契約期間は3〜6カ月が一般的です(編集部の整理による)。終了時に次の案件が決まっていなければ、その月から収入が途切れます。顧問契約は稼働を絞った継続契約にできるため、この空白を埋める役割を持たせられます。

提示される月額単価は100%稼働を前提にした金額です。顧問契約のように稼働率が20〜50%程度の低稼働の枠であれば、他の案件と並行して持つことができます。ただし、顧問契約だけで生活費をまかなえる水準にするには相応の数が必要なため、主力の案件の上に積み増す収入源として考えるのが現実的です。

判断軸

単発(プロジェクト型)案件

顧問契約

報酬の決まり方

月額単価×稼働率が一般的です

月額の固定報酬が中心です

契約期間

3〜6カ月で区切られることが多いです

数カ月ごとに更新する形が多いです

稼働の中身

常駐や週数日の実務支援が多いです

定例会議と随時の相談対応が中心です

成果物

資料や管理表など、案件ごとに決まります

月次レポートや助言の記録が中心です

営業の入口

エージェントの紹介が基本です

実績のある既存の取引先からの相談が入口になりやすいです

収入の見通し

終了時に空白が生じやすいです

更新が続く限り読みやすくなります

関係性の深さ

顧問契約では、経営層や事業責任者の相談相手として継続的に関わるため、単発案件より深い信頼関係が前提になります。

信頼が前提になるぶん、顧問契約は個人と直接結ぶ形になりやすい契約です。一方で、大手企業・上場企業・コンサルファームは、与信や購買規定、機密保持、請求処理の都合から、個人と直接契約しないケースが多いとされます。法人であるエージェントを挟む3者間契約が実務上の基本であり、非公開案件に出会える窓口にもなっています。

そのため、案件獲得の順序は変わりません。まずエージェントを2〜3社登録して稼働の土台を作り、前職や元同僚からの紹介を並行して広げます。直接取引である顧問契約は、実績と信用ができた段階で少数から持つ位置づけです。案件の探し方全体は、独立コンサルタントの案件獲得完全ガイドでも整理しています。

顧問契約に結びつきやすい単発案件の終わらせ方

顧問契約は、単発案件の終盤に次の課題と続ける価値を示した人に、声がかかりやすくなります。

顧問の話は、契約を終える段階で自然に生まれることが多くあります。終盤は成果の共有と残課題の整理を同時に行う時期なので、ここで提案の材料を揃えておきます。なお、エージェント経由で入った案件の場合は、契約書に直接取引の制限や一定期間の勧誘禁止が置かれていることがあります。顧問の提案に進む前に、契約書の該当条項を確認してください。迷う場合は、弁護士などの専門家やエージェント担当者に確認すると安全です。契約書の見方は業務委託契約書で確認すべきポイントで解説しています。

次の課題の提示

次の課題は、終了の2〜4週間前に、現状と残りの論点を1枚にまとめて見せる形で示します。

ここで大切なのは、営業トークではなく、プロジェクトの中で実際に見えた事実を材料にすることです。たとえば次のような整理です(架空の例です)。

  • PMOとして業務改善を支援した案件で、新しい承認フローが現場に定着するかは3カ月ほど見ないと分かりません。
  • 導入したツールの運用ルールが部署ごとに分かれ始めており、半年後に統一できているかが論点です。
  • 次期の予算計画に合わせて、優先度の高い施策を2つに絞る判断が控えています。

どれも、案件を終えたあとも判断が必要になる論点です。課題を示すときは、解決策を売り込むのではなく、「この論点は、誰かが月に一度は点検したほうがよい」という形で置くと、相手が自分ごととして受け取りやすくなります。

継続価値の説明

継続の価値は、「判断の速さ」「定着の確認」「再発の防止」の3点で説明すると、相手に伝わりやすくなります。

顧問に切り替えると、相談のたびに新しく契約や説明を行う手間がなくなり、判断までの時間が短くなります。導入した仕組みが定着しているかを定期的に確認でき、うまくいかなかったときの修正も早くなります。さらに、過去の経緯を知る人が関わり続けるため、同じ問題を繰り返しにくくなります。

この3点を、相手の現場で実際に起きた出来事に結びつけて話します。一般論で終わらせず、「この案件の中で、あの判断に2週間かかった」といった事実で示すと、顧問の必要性が具体的になります。

顧問契約の提案の組み立て

顧問契約の提案は、提供する価値、稼働の範囲、月次の成果物の3点を1枚に整理して示すと、相手が社内で検討しやすくなります。

顧問契約の提案書を提供価値、稼働範囲、月次の成果物の3つに分けて整理した構成図

提供価値と稼働範囲

提供価値と稼働範囲は、「何を相談できて、何は対象外か」を最初に線引きして書きます。

範囲が曖昧なままだと、相談が際限なく増えて稼働が膨らみ、報酬と釣り合わなくなります。次の順序で整理すると、抜けが出にくくなります。

  1. 相手の現状の課題を3つ以内に絞ります。入力は、案件中に集めた事実とヒアリングの記録で、出力は課題の一覧です。
  2. それぞれの課題に対して、顧問として支援する内容を書きます。入力は課題の一覧で、出力は支援内容の一覧です。
  3. 対応する形式と上限を決めます。たとえば、月1回の定例(90分)、チャットでの質問は月5件まで、といった形です。出力は稼働範囲の表です。
  4. 対象外の項目を明記します。実務の代行や、資料の大量作成などは別契約とすることを書き、出力は対象外の一覧です。

次の表は、提案書に載せる稼働範囲の記載例です(架空の例です)。

項目

記載例

支援テーマ

新規事業の優先順位づけと、PMO体制の定着確認

定例会議

月1回・90分(オンライン)

随時の相談

チャットでの質問は月5件まで、回答は2営業日以内

対象外

実務の代行、社内資料の作成、第三者との交渉の同席

契約期間

3カ月。終了の1カ月前に更新を協議

月次の成果物の設計

月次の成果物は、相手が社内で「顧問の成果」として説明できる形に、小さく設計します。

顧問契約は、成果が見えにくいと更新の場面で価値を説明しづらくなります。毎月残るものを決めておくと、継続の判断材料になります。

成果物

内容の例(架空)

相手にとっての使い道

月次レポート(1枚)

今月の論点3つ、判断結果、来月の確認事項

経営会議での報告資料として使えます

議事メモ

定例で決まったことと担当者・期限

決定事項の抜け漏れを防げます

判断の記録

相談の経緯、選択肢、推奨とその理由

後から経緯をたどれます

顧問契約の報酬設定の考え方

顧問契約の報酬は、稼働量から出した下限と、相手にとっての価値から出した上限の間で決めるのが基本です。

稼働量と提供する価値を両方の皿に載せて釣り合わせるはかりで、報酬の決め方を表した図

稼働と価値の両面から決める

下限は、フルタイムの月単価を稼働率で按分した金額で、そこに価値に応じた上乗せを検討します。

フリーコンサル全体のボリュームゾーンは月100〜150万円で、100%稼働・年間フル受注の場合に年収1,200〜1,800万円程度とされます。ただし、この月額は100%稼働の水準です。次の計算は、仮の数字を置いた例です。

  1. フルタイム稼働の月単価を150万円と仮定します。
  2. 顧問契約に使える稼働を、月の稼働の20%と仮定します。
  3. 按分すると月30万円が、稼働面から見た下限の目安になります。
  4. 相手の意思決定への影響が大きい場合や、他に代えが利かない知見を提供する場合は、価値面から上乗せを検討します。

年収に換算するときは、年間フルで稼働し続ける前提にしないことも大切です。年間で2カ月ほど空きがある(稼働率約83%)と見込むのが一般的な試算の置き方です。実際の金額は取引先との交渉と契約内容によって変わるため、数字は目安として扱い、個別の判断は税理士など専門家にも確認してください。

他案件との兼ね合い

顧問契約の稼働は、主力案件の稼働と合算して100%を超えないように、先に枠を決めて受けます。

低稼働の枠は、複業として並行しやすい一方で、積み上げると会議の日程が重なり、本来の主力案件に支障が出ます。受ける前に、次の3点を確認します。

  • 主力案件の契約に、兼業や同業他社との取引を制限する条項がないか。
  • 顧問先と主力案件の取引先が競合関係にあり、守秘の面で問題が生じないか。
  • 定例の曜日と時間帯を、主力案件の予定と重ならない形に固定できるか。

守秘の取り決めについては、フリーランスコンサルタントが結ぶ秘密保持契約の基本も参考になります。複数の契約を持つ前提で、案件ごとの稼働枠を月初に見直す習慣をつけておくと、受けすぎを防げます。

顧問契約を長く続けるための運用

顧問契約を続けるコツは、定例とレポートの型を固定し、見直しの時期をあらかじめ決めておくことです。

定例とレポートの型

定例は月1回、事前の論点共有、当日の議論、翌営業日までの議事メモという流れに固定します。

  1. 定例の3営業日前までに、今月の論点と判断してほしい事項を相手に送ります。入力は前月の議事メモで、出力は論点リストです。
  2. 定例では、論点ごとに選択肢と推奨を示し、その場で決められるものは決めます。出力は決定事項と保留事項です。
  3. 翌営業日までに、議事メモと月次レポートを送ります。出力は、担当者と期限つきの確認事項です。

型が固定されると、相手は準備の手間が減り、顧問を使う習慣がつきます。毎月同じ形式で成果が残ることが、更新時の説明の土台にもなります。

契約見直しのタイミング

契約の見直しは、3〜6カ月ごとの更新に合わせて、終了の1カ月前に協議を始めると無理がありません。

見直しでは、相談件数と稼働の実績、成果物の使われ方、相手の課題の変化を材料に、稼働範囲と報酬を調整します。稼働が増えているなら範囲を絞るか報酬を見直し、相談が減っているなら内容を組み替えます。

取引条件は、口頭で済ませず、書面やメールなどで明示するのが原則とされています。また、6カ月以上続く業務委託では、発注側が解除や更新をしない場合に30日前までの予告が求められるルールがあります(対象となる発注事業者の条件があります)。詳細は公正取引委員会のフリーランス法特設サイトで確認できます。契約書の作成や解釈に迷う場合は、弁護士などの専門家に確認してください。

顧問契約は、単発案件で実績を作り、終盤に次の課題を示し、月次の型で続けることで育てる契約です。エージェント経由の案件を土台に、実績と信用ができた段階で少数から持つ形が、収入と時間の両面で無理のない進め方です。契約形態の違いは、業務委託・準委任・請負の違いで詳しく整理しています。

この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の契約内容や税務の判断を示すものではありません。契約書の作成・解釈は弁護士、税務は税理士など専門家にご確認ください。最終更新日:2026年10月10日。

出典・参考情報

  1. 公正取引委員会 フリーランス法特設サイト(2026-10-10参照)
  2. 編集部独自調査(業務委託契約の形態、稼働率と収入の関係、フリーコンサル全体のボリュームゾーンなど)
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