モビリティ分野でフリーランスコンサルタントとして案件を獲得するには、エージェント2〜3社への登録を軸に、前職の同僚などのリファラルを並行させ、実績が積み上がった段階で直取引を少数加える順序が現実的です。本記事では、交通事業者・自動車メーカー・MaaS事業者・自治体の交通政策部門といった発注元の特徴を踏まえ、経路ごとの使い分け、実績の見せ方、案件獲得までの期間の考え方、掛け持ちの注意点を整理します(2026年9月時点)。
モビリティコンサルタントの案件獲得方法|フリーランスが実践すべきこと
モビリティコンサルタントの案件獲得方法まとめ
モビリティコンサルタントの案件獲得は、エージェント経由を土台に、人脈・リファラルを並行させる二本立てで進めるのが基本です。大手企業や上場企業、コンサルティングファームは、与信や購買規定、機密保持、請求処理の都合から個人と直接契約しないケースが多く、エージェントを挟む3者間契約が実務上の主流になっています。
モビリティ分野は、国土交通省が「交通空白」の解消や地域経済の活性化を掲げてMaaSの導入を支援しているように、公共政策と民間事業の両方が動く領域です。国土交通省は2025年4月11日に、令和7年度の日本版MaaS推進・支援事業として全国29事業を選定したと発表しています(出典:国土交通省 報道発表、2025年4月11日)。発注元の顔ぶれが交通事業者、自動車関連企業、スタートアップ、自治体と幅広いため、経路を1つに絞らず複数を組み合わせる意味が大きくなります。
フリーランスエージェント経由で案件を獲得する
エージェント経由は、非公開案件へのアクセス手段になり、契約・請求の手続きも任せられる一方、中間マージンが差し引かれる経路です。独立初期は、総合型1〜2社と専門特化型1社を組み合わせた2〜3社の併用が目安で、目的は選択肢と相場感の把握、稼働が途切れた際のリスク分散、非公開案件との接点づくりです。
登録先を増やしすぎると連絡や面談の管理負荷が上がるため、まずは2〜3社に絞って動くのが一般的です。代表的なサービスの公開情報を、同じ粒度で並べると次のとおりです。
サービス | 公開情報の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
ProConnect | 新規案件は毎月500件以上、登録者8,000名、支払サイトは9営業日 | 戦略・IT/DX・PMOなどコンサル全般。専任担当がマッチングし、公開・非公開の両方を扱う |
フリーコンサルタント.jp | 公開案件4,000件以上、月単価120万円(100%稼働) | 国内最大級。直接応募と案件紹介の2ルートがある |
ハイパフォコンサル | 公開案件8,085件、支払サイトは翌月15日払い | PM・AI・IoT・SAP・デジタルマーケ・戦略などの領域 |
Strategy Consultant Bank | 公開案件1,000件以上、月単価相場140〜160万円 | 戦略・ERP・人事・IT・リサーチの領域 |
コンサルGO | 大手ファーム出身者向けの高単価案件 | DX・AI領域が強みで、リモートや低稼働の案件もある |
マージンは一般に20〜30%程度とされ、コンサル特化型は非公開のことが多いため、面談時に確認しておくと手取りの比較がしやすくなります。支払サイトも確認項目で、標準は月末締め翌月末払い(約40日)、翌月15日払いは最速水準です。数値は各社の公開時点のもので変動するため、最新の条件は各サービスでご確認ください。エージェント各社を広く比べたい場合はフリーランスコンサル向けエージェントのランキング記事もあわせて参考にしてください。
人脈・リファラルで案件を獲得する
人脈・リファラルは、中間マージンが発生しない代わりに、実績と信頼関係が前提になる経路です。交通事業者や自動車メーカー、自治体の交通担当者は、担当替えや異動を挟んでも同じ業界の中でつながり続けるため、前職の同僚や取引先が数年後に発注側や紹介元になる場面があります。
リファラルはエージェントの代わりではなく、並行して育てる経路です。エージェント経由で稼働している間も、退任時のあいさつ、業界イベントでの再会、共通の知人を介した近況共有といった接点を保っておくと、案件の切れ目に相談が届きやすくなります。直取引は、実績と信用ができた段階で少数から始めるのが一般的で、独立直後から直接営業に時間を割きすぎると、稼働の土台づくりが遅れやすくなります。

モビリティ分野で評価される実績の作り方
モビリティ分野で評価される実績は、担当した領域・自分の役割・使った手法・成果の4項目を、守秘義務に触れない形で整理したものです。発注側の担当者は短い面談で判断するため、経験年数よりも、どの課題にどう関わったかが読み取れる実績サマリの方が伝わります。
道路運送法・自家用有償旅客運送制度の見直しや自動運転の社会実装を背景にモビリティ特化コンサルの外部活用が進んでいる
制度見直しや自動運転の社会実装が進む中で、交通分野の制度と実務の両方を理解している人材は、外部の専門家として活用される機会が広がっていると考えられます。ただし、案件数や需要の伸びを裏づける公的な統計は確認できていないため、動向は個別の案件情報で確かめる姿勢が必要です。
実績に制度の言葉を織り込むと、読み手に専門性が伝わります。国土交通省は自家用有償旅客運送について、根拠となる道路運送法や同法施行規則のほか、ハンドブックや80件の事例集を公開しています(出典:国土交通省「自家用有償旅客運送について」)。地域交通の再編や交通空白の解消に関わった経験がある場合は、どの制度の枠組みで、どの主体(自治体・交通事業者・運営団体)と何を進めたかを書くと具体性が増します。
実績サマリの書き方と匿名化
実績サマリは「背景・課題」「自分の役割」「使った手法」「成果」の型で統一し、社名は伏せて領域と規模だけを残すのが基本です。次は架空の題材による記載例です。
項目 | 記載例(架空の題材) |
|---|---|
背景・課題 | 地方都市のバス路線再編に向け、利用実態の把握と住民への説明資料づくりが必要だった |
自分の役割 | 自治体の交通政策部門に常駐し、調査設計と関係者調整を担当 |
使った手法 | 乗降データの集計、住民アンケート、路線案ごとの比較表の作成 |
成果 | 再編案を関係者会議で合意し、次年度の実証運行の計画に反映 |
匿名化の書き方 | 「人口10万人規模の地方自治体」のように、地域や規模の粒度で表現する |
成果は数値で示せるものがあれば数値を添え、示せない場合は「合意に至った」「計画に反映された」のように事実の範囲で書きます。複数の案件がある場合は、交通事業者向け、自動車関連企業向け、自治体向けなど発注元の種類ごとに1件ずつ整理しておくと、案件に合わせて出し分けやすくなります。

案件獲得までの平均期間と成功のコツ
案件獲得までの期間について、モビリティ分野に限った公的な統計は確認できておらず、経験や条件によって大きく変わります。参考として、ProConnectは会員登録から最短2日で参画できるとしていますが、これは最短の例であり、一般的な所要期間ではありません。
期間を短くするコツは、面談の前に準備を済ませておくことです。具体的には次の3点が効きます。
- 実績サマリを、交通事業者向け・自動車関連企業向け・自治体向けの3パターンで用意しておく
- 稼働可能な時期、稼働率、希望する月額の下限を、面談前に自分の中で決めておく
- エージェントの担当者に、得意な領域と避けたい条件を具体的に伝えておく
単価の見通しを持っておくことも大切です。業種別の目安として、製造分野は月額140〜200万円、公共分野は90〜140万円とされます。自動車メーカーに近い案件は前者、自治体の交通政策に近い案件は後者が参考になります。提示単価は100%稼働換算のため、稼働率も合わせて確認してください。詳しい水準はモビリティコンサルタントの単価相場の記事で整理しています。
契約形態は、案件の約70〜80%が準委任契約で、期間は3〜6カ月が一般的です。準委任は成果物の完成義務を負わず、報酬は月額に稼働率を掛けて決まります。契約前に、準委任か請負かと稼働率の前提を必ず確認しておくと、想定との差を防げます。
複数案件を掛け持ちする際の注意点
複数案件の掛け持ちは、稼働率の合計を100%以内に収め、契約上の制約を先に確認することが前提です。稼働20〜50%の低稼働案件では、副業や複数案件の同時進行が可能なものもあり、収入の安定と稼働の切れ目対策に役立ちます。
稼働率の配分と収入の見方
掛け持ちでは、主案件を軸に、副案件を稼働の余力の範囲で組み合わせます。年収の試算では、年間で2カ月の空きを見込む稼働率約83%が一般的な前提とされ、月額に12を掛けた金額をそのまま年収とみなすのは避けるべきです。

競合・守秘義務・出社日程の確認
掛け持ちで最も注意したいのは、競合関係と守秘義務です。モビリティ分野では、同じ地域の交通事業者や、競合する自動車関連企業の案件を並行して受けると、利益相反や情報の取り扱いが問題になる場合があります。
案件を受ける前に、契約書の競業避止や秘密保持の条項、他案件との兼業可否を確認しましょう。フルリモートや週2〜3日の出社といった稼働形態も広がっていますが、自治体の案件は会議や現地確認で日程が固定されやすいため、副案件の会議日程が主案件と重ならないかも事前に見ておくと安心です。判断に迷う場合は、担当のエージェントや専門家に相談してください。
まとめ:モビリティコンサルタントとして案件を継続的に獲得する
モビリティコンサルタントとして案件を継続的に獲得する近道は、エージェント2〜3社を軸に、リファラルを並行させ、実績が積み上がってから直取引を少数加える順序を守ることです。要点は次の5つです。
- エージェントは2〜3社に絞って登録し、マージンと支払サイトを確認する
- 前職の同僚や取引先とのつながりを、稼働中も保っておく
- 実績は「背景・課題」「役割」「手法」「成果」の型で、社名を伏せて用意する
- 案件獲得までの期間は個人差が大きいため、面談前の準備で短縮を図る
- 掛け持ちは稼働率の合計と、競合・守秘義務を先に確認する
モビリティ分野は制度と技術の両面で動きが続いており、案件の中身も変わっていきます。最新の条件は各エージェントや公的機関の情報で確認しながら、自分の経験に合う経路を段階的に組み合わせてください。
出典・参考情報
- 国土交通省 報道発表「令和7年度「日本版MaaS推進・支援事業」の選定について」(2026-09-29参照)
- 国土交通省「自家用有償旅客運送について」(2026-09-29参照)
- 各エージェントの公開情報(各社公式サイト掲載の数値。2026年9月時点で編集部が整理)
本記事のデータは2026年9月時点の情報に基づきます。単価・案件数・エージェントの条件は変動するため、最新の情報は各サービス・機関に直接ご確認ください。個別の契約判断は専門家にご相談ください。
スキルシートを登録するだけ。専任エージェントが最適な案件を無料でご提案します。
無料でコンサルタント案件を探す