M&Aアドバイザリーコンサルタントの案件獲得方法|フリーランスが実践すべきこと

M&Aアドバイザリーコンサルタントの案件獲得方法|フリーランスが実践すべきこと

中小企業のM&A件数が過去最多を更新するなか、M&Aアドバイザリーコンサルタントの案件機会は広がりつつありますが、秘匿性の高い領域であるため、エージェントを軸にした複数ルートの使い分けが案件獲得の基本になります。本記事では、フリーランスとして案件を獲得する4つのルートと、特化エージェントの活用術、商談で信頼を得るための準備、継続受注につなげるポイントを実務目線で整理します(最終更新日:2026年9月28日)。

M&Aアドバイザリーコンサルタントの案件市場と需要動向

M&Aアドバイザリーコンサルタントが担う案件は、中小企業のM&A件数の増加とともに広がりを見せています。

中小企業のM&A増加により、M&Aアドバイザリーコンサルタントの案件獲得機会が増えている

国内のM&A件数は2025年に過去最多を更新しており、中小企業領域でもM&Aアドバイザリーコンサルタントが関与する案件の裾野が広がっています。M&A専門データベースのレコフデータの集計をもとにした業界メディアの報道(2026年9月参照)によれば、2025年の国内M&A件数は5,115件(前年比8.8%増)で、初めて5,000件の大台を超え2年連続で過去最多を更新しました。中小企業庁に登録するM&A支援機関を通じた成約報告に限っても、2024年度の譲渡側の件数は4,940件に達しており、資本金1億円以下の中小企業を対象にしたM&A案件そのものが年々積み上がっています。

この増加の背景には、経営者の高齢化と後継者不在率が2025年時点で50.1%にのぼるという構造的な課題があり、第三者への事業承継としてM&Aを選ぶ中小企業が増え続けていることが挙げられます。案件数の絶対量が増えるほど大手ファームだけでは対応しきれない実務が生まれやすく、フリーランスのM&Aアドバイザリーコンサルタントが担うデューデリジェンス(買収対象企業の財務・法務等の精査)支援や企業価値評価、PMI(統合後の実務)といった業務の受け皿が広がる構造になっていると考えられます。

フリーランス人材への発注が増えている背景

M&A業界でフリーランス人材への発注が増えている背景には、案件そのものの秘匿性の高さと、仲介会社側の人材の独立志向という2つの要因があります。

M&A・事業承継領域に特化した案件紹介サービスの解説によれば、M&A関連の案件は秘匿性が高いことから、フリーランス向けに開放される案件数自体は他のコンサル領域ほど多くはないとされています。そのため参画形態は、事業会社のM&A担当チームへの参画や、コンサルティングファーム・仲介会社のプロジェクト単位での支援が中心になりやすい傾向があります。

一方で、M&A仲介業界の動向を扱う記事では、成約経験を積んだコンサルタントが増えるなかで独立を選ぶ人材が増加しており、仲介会社側もマッチング後の成約支援業務を外部のフリーランスアドバイザーに委託する仕組みを取り入れる動きが出てきていると報じられています。案件の発注元が「案件を見つける力」と「成約までまとめる力」を切り分け、後者を業務委託で確保しようとする流れがあるとみられます。

フリーランスM&Aアドバイザリーコンサルタントの主な案件獲得ルート4選

M&Aアドバイザリーコンサルタントが案件を獲得するルートは、大きく「フリーランスエージェント経由」「直接契約・リファラル経由」「クラウドソーシング・案件マッチングサービス経由」「SNS・独自の情報発信経由」の4つに整理できます。

フリーランスエージェント経由

案件獲得の中心的なルートは、フリーランスエージェントを介した契約です。

大手企業や上場企業、コンサルティングファームは、与信(個人事業主の信用力審査)や購買規定、機密保持、請求処理の都合から個人と直接契約しないケースが多く、法人であるエージェントを挟んだ3者間契約を結ぶのが実務上の基本ルートとされています。守秘義務の観点が特に強いM&A領域では、この傾向がいっそう強く働きやすいと考えられます。

M&A仲介業界では、売り手と買い手のマッチング支援を行うプラットフォームが、マッチング後の成約に向けた実務をフリーランスのM&Aアドバイザーに委託する仕組みを取り入れる例も出てきており、エージェントを介した案件獲得の選択肢は広がりつつあります。

直接契約・リファラル経由

直接契約は、実績と信用ができた段階で少数にとどめるのが現実的です。

案件獲得の基本ルートに関する知見では、独立初期はエージェント経由で稼働の土台をつくりながら、前職や元同僚からのリファラルを並行して進め、直取引は実績と信用が積み上がった段階で少数扱う、という順序が現実的だとされています。守秘義務の重いM&A領域では、既存クライアントや取引先との信頼関係が案件化の起点になりやすく、リファラルの比重が他のコンサル領域よりも大きくなる傾向があります。

クラウドソーシング・案件マッチングサービス経由

クラウドソーシング型のプロフェッショナル人材マッチングサービスにも、M&A関連の案件は掲載されています。

フリーコンサルタント.jpのように、M&Aを専用カテゴリとして案件を掲載しているサービスも存在します。またランサーズ プロフェッショナルエージェント(POD)は、公開案件数800件以上・非公開案件が全体の約85%を占め、月単価相場は150万〜200万円(100%稼働)とされており、業界メディアの取材では継続利用率が90%に達すると報じられています。こうしたサービスに登録しておくことで、エージェント単独では出会えない案件に触れる機会を増やせます。

SNS・独自の情報発信経由

SNSでの専門知見の発信も、案件獲得の補助線として機能します。

副業でM&Aコンサルタントとしての案件獲得を目指す層を対象にした業界メディアの解説では、SNSで自身の専門領域に関する知見を発信して認知度を高める方法と、商工会議所や経済同友会のような経営者コミュニティへの参加を組み合わせるアプローチが紹介されています。即効性のある手法ではありませんが、エージェント経由やリファラルだけでは接点を持ちにくい層に情報を届ける経路として、中長期的に育てておく価値があります。

フリーランスエージェント経由・直接契約リファラル経由・クラウドソーシング経由・SNS発信経由という4つの案件獲得ルートを中央のデスクから四方に伸びる矢印で示した図解

M&Aアドバイザリー特化エージェントを活用した案件探しのコツ

特化エージェントを使いこなすうえでは、実績の示し方と複数社の使い分けが鍵になります。

登録時にアピールすべき実績・専門性の示し方

M&A領域では、デューデリジェンス対応や企業価値評価(バリュエーション)、クロスボーダー案件への対応経験など、実務で培った専門性を具体的に説明できることが登録面談での評価につながりやすいとされています。求められるスキルとして、企業価値評価レポートの作成能力やクロスボーダーM&A経験、財務デューデリジェンスの評価・指摘能力などが挙げられており、自分がどの実績を軸に説明するかを事前に整理しておくとよいでしょう。

加えて、一般社団法人金融財政事情研究会が運営する事業承継・M&Aエキスパート認定制度のように、ベーシック編からプロフェッショナル編(M&Aシニアエキスパート養成スクール・試験)まで4段階で専門知識を証明できる資格制度も存在し、実務経験と組み合わせて登録時のアピール材料にする方法があります。守秘義務に抵触しない範囲で、担当した業務範囲・使用した手法・成果を整理したポートフォリオを事前に用意しておくと、エージェント側も自分に合った案件を提案しやすくなります。

複数エージェントを併用する際の使い分け

独立初期はエージェント2〜3社を併用するのが定石とされています。

案件数の多い総合型エージェントを1〜2社、自分の専門領域に強い特化型エージェントを1社組み合わせる考え方が基本になります。具体例としては、ProConnectやフリーコンサルタント.jp、ハイパフォコンサルのような総合型エージェントに、M&A特化のマッチングプラットフォームを組み合わせる形が考えられます。併用の目的は、案件の選択肢を広げて相場感をつかむこと、稼働が途切れるリスクを分散すること、非公開案件への露出を増やすことの3点にあり、4社以上を並行して管理すると対応の負荷がかえって増えるため、まずは2〜3社から始めるのが現実的です。

総合型エージェントとM&A特化型エージェントのカードを左右に並べ、組み合わせて登録する考え方を示した比較図解

直接契約・人脈経由でM&Aアドバイザリー案件を獲得する方法

人脈経由の案件は、日頃の関係構築の積み重ねから生まれます。

過去の勤務先・取引先からの紹介を得るための下地づくり

在籍時の同僚や上司が独立後に別のファームや事業会社に移り、そこから声がかかるケースは珍しくありません。前職・元同僚からのリファラルは、エージェント経由の登録と並行して行っておくべき現実的な選択肢です。定期的な近況報告や情報交換を続けておくことが、結果的に紹介の起点になることがあります。既存クライアントや取引先からの紹介も、オフラインでの案件獲得手段の一つとして位置づけられています。

業界コミュニティ・勉強会での関係構築

商工会議所や経済同友会のような経営者コミュニティ、事業承継・M&Aエキスパート資格の保有者同士のネットワークは、即座に案件へつながるものではないものの、業界の課題感を継続的にキャッチアップできる場になります。名刺交換にとどめず、セミナーや勉強会の後のフォローアップを丁寧に行うことが、次の相談につながる接点を維持するうえで重要です。

M&Aアドバイザリー案件の商談で信頼を得るための準備

商談の場で信頼を得るには、実績の見せ方と単価の考え方を事前に整理しておくことが欠かせません。

実績の見せ方と提案資料の作り方

M&A関連の実務経験を提案資料にまとめる際は、守秘義務に抵触しない範囲で、担当した業務(デューデリジェンス支援・企業価値評価・PMI支援など)と、そこで使った手法・工夫を具体的に言語化しておくことが有効です。案件ごとに求められる実績の切り口(財務デューデリジェンスが中心か、事業計画策定が中心かなど)は異なるため、自分がどの領域で強みを発揮できるかを整理し、面談前に複数パターンの説明を準備しておくと商談がスムーズに進みやすくなります。

単価交渉で不利にならないための準備

フリーランスエージェント経由の案件では、エージェントがクライアントから受け取る報酬の一部を仲介手数料として徴収する仕組みが一般的です。中間マージンの相場は一般に20〜30%程度とされ、コンサル特化型のエージェントでは非公開のケースも多いとされています。提示された単価がどのような手数料構造の上に成り立っているかを把握しておくと、複数社の提示額を比較する際の判断材料になり、単価交渉の場でも不利になりにくくなります。手数料を開示しているエージェントであれば、実質報酬を把握した状態で交渉に臨める点もメリットです。

グラフや組織図が印刷された提案資料とノート、電卓が並ぶ商談準備の情景

M&Aアドバイザリーコンサルタントが案件を継続的に受注するためのポイント

継続受注につなげるには、案件対応時の立ち回りが次の紹介を生む起点になります。

契約更新・紹介につなげるための実務での立ち回り

M&A案件は守秘義務の重さゆえに、対応の質そのものが次の紹介につながりやすい領域です。デューデリジェンスや契約交渉の期日を確実に守ること、資料や情報のやり取りにおいてアクセス権限や持ち出し制限などの管理を徹底することは、クライアントやエージェントからの信頼を積み重ねる基本になります。1件ごとの対応の質を積み上げていくことが、契約更新や別案件での指名、周辺人脈からの紹介につながっていくと考えられます。

注記

契約形態や守秘義務の範囲に関する個別の判断は、案件ごとに条件が異なります。契約内容に不安がある場合は、弁護士など専門家へ個別に相談することを推奨します。本記事の内容は一般的な情報整理であり、個別の法務判断を代替するものではありません。

M&Aアドバイザリーコンサルタントの案件獲得に関するよくある質問

未経験からの案件獲得可否、資格の要否、エージェント併用数、直接契約の可否について、よくある質問を整理します。

未経験でもM&Aアドバイザリーコンサルタントとしてフリーランスの案件を獲得できますか?

M&A関連の案件は秘匿性が高く、フリーランス向けに開放される案件数自体が他のコンサル領域ほど多くない傾向があります。そのため、FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)やコンサルティングファームでのトランザクション実務の経験を土台に、エージェント登録や人脈経由で少しずつ実績を積んでいくのが現実的な進め方だと考えられます。

M&A関連の資格は取得しておいた方がよいですか?

必須ではありませんが、一般社団法人金融財政事情研究会が運営する事業承継・M&Aエキスパート認定制度のような段階的な資格制度は、実務経験を補足する形で専門性を説明する材料になります。実務経験と組み合わせて登録時のアピールに活用する考え方が現実的です。

複数のエージェントに登録するのは非効率ではありませんか?

独立初期は総合型1〜2社と特化型1社を組み合わせた2〜3社程度の併用が定石とされています。案件の選択肢を広げて相場感をつかみ、非公開案件への露出を増やす効果がある一方、4社以上になると管理の負荷が増えるため、まずは2〜3社から始めるのが現実的です。

直接契約だけで案件を獲得することは可能ですか?

大手企業や上場企業、コンサルティングファームは与信や機密保持の都合から個人と直接契約しないケースが多く、特にM&A領域では守秘義務の観点からこの傾向が強く働きやすいとされています。直取引は実績と信用が積み上がった段階で少数扱うものと位置づけ、独立初期はエージェント経由とリファラルを軸にするのが現実的です。

出典・参考情報

  1. みつきコンサルティング「M&A件数は過去最多!日本企業の成約の推移・今後も増える?」(2026年9月参照):国内M&A件数・中小企業庁登録支援機関の成約件数・後継者不在率に関する参照情報
  2. CASE SEARCH(コンサル向け案件情報メディア)「M&Aコンサルタント・FAはフリーランスになれる?必要なスキルや案件内容、おすすめの案件紹介サービスを解説」(2026年9月参照):案件の秘匿性・必要なスキルに関する参照情報
  3. 「M&A仲介のフリーランスが増加中?M&Aクラウドがフリーランスと連携開始」(2026年9月参照):仲介会社によるフリーランス活用の動きに関する参照情報
  4. ランサーズ プロフェッショナルエージェント「M&Aコンサルタントは副業できる? 小規模案件から始める方法を徹底解説」(2026年9月参照):案件の探し方・継続利用率に関する参照情報
  5. 一般社団法人金融財政事情研究会「事業承継・M&A」(2026年9月参照):事業承継・M&Aエキスパート認定制度に関する参照情報
  6. コエテコキャリア「フリーコンサルにおすすめのエージェント10選【2026最新】」(2026年9月参照):複数エージェント併用に関する参照情報
  7. 顧問バンク「フリーランス契約前に!個人事業主への業務委託で最低限知っておくべきこと」(2026年9月参照):2者間契約・3者間契約に関する参照情報
  8. コンサルフリーマガジン「フリーランスエージェントのマージン」(2026年9月参照):エージェントの中間マージン相場に関する参照情報
  9. Pro-D-Use「マッチングサービス比較」(2026年9月参照):ランサーズ プロフェッショナルエージェント(POD)の案件数・単価相場に関する参照情報

本記事のデータは2026年9月28日時点の情報に基づきます。制度・単価水準の詳細は変動するため、最新情報は各エージェント・専門家に直接ご確認ください。

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