ローコード開発コンサルタントが案件を得るためには、kintoneやPower Platformといった特定ツールの実装スキルだけでなく、どの規模・業種の企業が導入支援を外部発注しやすいかを理解し、保守・追加開発まで見据えた提案をすることが近道です。本記事では、案件が生まれる市場動向から、案件化しやすい支援内容、直接営業・エージェント経由・コミュニティ経由という経路の比較、実績・提案の作り方、独立から継続案件化までの流れを、コンサルタントの歩み編集部が実務目線で整理します。
ローコード開発コンサルタントが案件を得る方法
この記事の結論・要点
結論から言うと、ローコード案件の獲得は「どこで案件を探すか」と「保守まで見据えた支援設計」の2点で大きく差がつきます。
ローコード開発コンサルタントが案件を得るための結論
ローコード開発コンサルタントが案件を得るには、エージェント経由で稼働の土台をつくりながら、保守・追加開発まで見据えた提案をすることが結論です。大手企業・上場企業は与信(個人事業主の信用審査)・購買規定・機密保持の都合からフリーランス個人と直接契約しないケースが多く、法人であるエージェントを挟む3者間契約が実務上の基本になっています。したがって案件獲得の順序としては、エージェント2〜3社に登録して稼働の土台をつくり、前職・元同僚からのリファラルを並行して探し、直取引は実績と信用ができた段階で少数試すという流れが現実的です。ローコード領域は導入して終わりではなく、稼働後の保守・追加開発まで一連で担えることを示せると、単発の案件が継続案件に育ちやすくなります。
需要が伸びている理由
需要が伸びている理由は、内製化の壁に直面した企業が、kintoneやPower Platformの導入・定着を外部の専門人材に依頼するケースが増えているためです。ローコード開発とは、GUI操作を中心に画面や帳票を作成し、最小限のプログラムコードでアプリケーションを開発する手法を指します(出典:IPA「ノーコード/ローコード開発とは?」)。プログラミングの専門知識がなくても業務システムを内製できる点が注目される一方、実際には要件整理や既存システムとの連携設計でつまずく企業が多く、そこに外部人材の支援ニーズが生まれています。背景には高度IT人材の構造的な不足もあり、IT人材は2030年に約79万人不足すると見込まれ、企業がプロジェクト単位で専門人材を活用する動きが拡大しています(出典:ドメイン知識ベース「高度人材の構造的不足」)。IPAが2025年6月に公表した「DX動向2025」でも、システム開発の内製化はDX推進の技術的な論点の一つとして扱われており、内製化を後押しする手段としてローコード活用が位置付けられる場面が増えています。
ローコード開発コンサルタント案件の市場動向
ローコード開発コンサルタント案件の市場動向は、企業規模を問わずkintoneとPower Platformの2つを軸に広がっています。
kintone・Power Platform等ツール別の案件傾向
ツール別の案件傾向としては、情報システム部門の人員が限られる中堅・中小企業ではkintone、Microsoft 365を既に導入済みの企業ではPower Platformの引き合いが目立ちます。ノークリサーチが2024年1月29日に発表した年商500億円未満の中堅・中小企業1,300社への調査では、ローコード・ノーコード開発ツールの導入予定シェアはkintoneが15.5%で1位、Power Appsが14.5%で2位となっており、導入済みシェアの1位はGeneXusの21.8%でした(出典:IT Leaders「ローコード/ノーコード開発ツール導入シェア」)。この結果からも、kintoneとPower Platformが中堅・中小企業のローコード案件の主戦場になっていることがうかがえます。案件の内容も、基本機能とJavaScriptカスタマイズによる業務アプリ開発、既存の基幹システムやSaaSとの連携、プラグイン開発など、ツールの標準機能だけでは完結しない周辺実装に広がっている点が特徴です。
発注が多い企業規模・業種
発注が多い企業規模・業種は、従業員数百名規模までの卸売・小売・サービス業など、情報システム部門の専任者が少ない中堅企業が中心です。コンサルタントの歩み編集部がエージェント経由の案件情報を独自に確認したところ、大企業のように情報システム部門が独立して存在する企業よりも、総務や経営企画が情報システムを兼務している中堅企業からの相談が目立つ傾向がうかがえました。こうした企業では、受発注管理や勤怠管理、案件管理といった業務がExcelや紙の帳票で属人化しているケースが多く、ローコードツールで一元化したいというニーズが具体的な案件につながりやすいと考えられます。反対に、独自の基幹システムを大規模に構築済みの大企業では、ローコード導入の優先度が相対的に低く、案件化までの検討期間が長くなる傾向があります。
案件化しやすい支援内容
案件化しやすい支援内容は、要件整理を伴う導入設計と、内製化を見据えた伴走支援の2つに大別されます。
導入設計・移行支援・内製化伴走の違い
導入設計・移行支援・内製化伴走は、それぞれ関与する期間と成果物が異なり、案件の単価や継続期間にも影響します。例えば、従業員80名規模の卸売業A社が、Excelで管理していた受発注業務をkintoneに置き換える場合、支援の流れは次のように整理できます(架空の例)。
- 現行業務の棚卸し:受発注の入力項目・承認フロー・関係者を洗い出す
- 画面・ワークフロー設計:入力フォームと承認ルートをkintone上に設計する
- 既存システムとの連携要件定義:会計システムなど他システムとのデータ連携方法を決める
- テスト運用:一部部署で試験運用し、入力ミスや承認漏れを洗い出す
- 本稼働・定着化支援:全社展開後、運用ルールの定着と簡単な改修を支援する
支援内容 | 主な成果物 | 単価・継続の傾向 |
|---|---|---|
導入設計 | 業務要件定義書・画面設計 | 上流工程のため単価は上振れしやすい |
移行支援 | データ移行・既存システム連携 | プロジェクト単位で期間が限定されやすい |
内製化伴走 | 運用ルール整備・社内担当者への引き継ぎ | 低稼働・長期契約になりやすい |

保守・追加開発による継続案件化のしやすさ
保守・追加開発による継続案件化のしやすさは、導入時に定着化支援まで見据えた提案をしているかどうかで大きく変わります。コンサルタントの歩み編集部の実務知見として、導入直後に一括で開発を終わらせる提案よりも、要件定義の段階で「運用ルールの見直しを四半期ごとに行う」といった定例の振り返りタイミングをクライアントと合意しておく提案の方が、その後の追加改修・機能拡張の相談につながりやすい傾向がうかがえます。ローコードツールは現場の業務変化に合わせて画面や承認フローを柔軟に変えられる特性があるため、導入後も一定の関与を続けられる体制を提案時点で示しておくことが、単発の導入案件を継続案件に育てる実務的な工夫になります。
案件を得る経路の比較
案件を得る経路の比較では、直接営業・エージェント経由・コミュニティ経由の3つが主な選択肢になります。
直接営業・エージェント経由・コミュニティ経由の特徴
3つの経路のうち、大手企業を含む幅広い案件を目指す場合はエージェント経由が現実的な選択肢になります。大手企業・上場企業は、与信・購買規定・機密保持の都合からフリーランス個人と直接契約しないケースが多く、法人であるエージェントを挟む3者間契約が実務上の基本になっています(出典:ドメイン知識ベース「案件獲得の基本ルート」)。
経路 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
直接営業 | 前職・知人の紹介が中心。実績と人脈が必要 | すでに業界内に一定の人脈がある場合 |
エージェント経由 | 3者間契約で与信要件をクリアしやすく、非公開案件にもアクセスできる | 独立初期や大手企業の案件を狙いたい場合 |
コミュニティ経由 | kintoneやPower Platformのユーザーコミュニティでの情報交換が中心。小規模案件の紹介に強い | 特定ツールに詳しく、横のつながりを広げたい場合 |
エージェント経由で比較すべき軸
エージェント経由で比較すべき軸は、案件領域の専門性・登録者数・支払サイトの3点です。独立初期は、案件数の多い総合型1〜2社と、自分の専門領域に強い特化型1社を組み合わせて、合計2〜3社に登録するのが定石とされています(出典:ドメイン知識ベース「最初に登録すべきエージェントの考え方」)。
エージェント | 案件領域 | 特徴 |
|---|---|---|
ProConnect | 戦略・IT/DX・PMOなどコンサル領域全般 | 登録者数8,000名、支払サイトは9営業日、会員登録から最短2日で参画可能。専任担当によるマッチングで公開・非公開の両方の案件を保有 |
フリーコンサルタント.jp | コンサル領域の総合型 | 公開案件4,000件以上を保有する国内最大級の総合型エージェント |
ハイパフォコンサル | コンサル領域の総合型 | 公開案件8,085件を保有し、翌月15日払いと支払サイトが業界最速水準 |
コンサルGO | DX・AI領域に強い特化型 | BIG4出身者向けの案件に強みを持つ特化型エージェント |
ローコード導入支援はDX・IT領域の案件として扱われることが多いため、コンサル領域全般を扱う総合型エージェントと、DX・IT領域に強い特化型エージェントを組み合わせて登録しておくと、案件の選択肢を広げやすくなります。独立準備の全体的な進め方はITフリーランス独立準備ガイドでも解説していますので、あわせてご確認ください。

案件獲得につながる実績・提案の作り方
案件獲得につながる実績・提案の作り方は、未経験ツールでも転用できるスキルを言語化し、提案書に落とし込むことがポイントです。
未経験ツールへの参入時にアピールできる材料
未経験ツールへの参入時にアピールできる材料は、業務分析力や要件定義の経験など、特定ツールに依存しない上流スキルです。例えば、SIerでの業務システム開発やパッケージ導入で要件定義・業務フロー整理・ベンダーコントロールを担った経験があれば、kintoneやPower Platform自体の操作経験が浅くても、認定資格の取得や個人検証と組み合わせることでアピール材料になります。kintoneには「kintone認定アプリデザインスペシャリスト」、Power Platformには「Microsoft認定資格 PL-900」など、短期間で取得しやすい資格が用意されており、実務経験と合わせて提示することで、未経験ツールへの参入時の不安を補う材料になります。
提案時に評価されやすいポイント
提案時に評価されやすいポイントは、業務要件を汎用テンプレートに頼らず、企業固有の業務フローに合わせて具体化できるかどうかです。クライアントとの初回ヒアリングで、現状の業務フローのどこにボトルネックがあるかを具体的に言語化し、ローコードツールでどこまで解消できてどこからは運用でカバーする必要があるかを切り分けて示すと、提案の解像度が高いと評価されやすくなります。反対に、ツールの機能一覧をなぞるだけの提案は、他の候補者との差別化が難しくなる傾向があります。
独立・案件獲得への接続
独立・案件獲得への接続は、初回相談から契約までの流れを把握し、契約後も継続案件を意識した立ち回りをすることが重要です。
初回案件相談から契約までの流れ
初回案件相談から契約までの流れは、エージェント面談から案件紹介、クライアント面談、契約条件のすり合わせを経て契約締結に至るのが一般的です。具体的な流れは次の通りです。
- エージェントへの登録・面談:得意なツール、稼働可能日数、希望単価を共有する
- 案件紹介・書類選考:希望条件に合った案件の紹介を受ける
- クライアントとの面談:現状の業務課題や求める支援範囲をヒアリングする
- 契約条件のすり合わせ:稼働日数、契約期間、支払サイトなどを確認する
- 契約締結・稼働開始:契約書を締結し、業務を開始する
エージェントによっては会員登録から最短2日で参画できる場合もあり(出典:ドメイン知識ベース「ProConnectの公開情報」)、案件相談から契約までのスピード感を事前に把握しておくと、稼働開始の見通しを立てやすくなります。

継続案件につなげる立ち回り
継続案件につなげる立ち回りは、契約範囲外で気づいた業務上の改善点を定例報告に含め、追加相談を引き出すことです。稼働中に「この画面は入力項目を減らせそうです」「この承認フローは1段階省略できそうです」といった気づきがあれば、契約範囲を超える提案であっても定例の報告の場で共有しておくと、クライアント側から追加の改修依頼や次フェーズの相談につながりやすくなります。担当領域だけをこなすのではなく、業務全体を見ている姿勢を示すことが、次の案件相談を呼び込む実務的な工夫です。
よくある質問
ローコード開発未経験でも案件を獲得できるか
ローコード開発が未経験でも、業務要件定義や基幹システム連携の実務経験があれば、認定資格の取得と組み合わせて案件を獲得できる可能性があります。ツールの操作自体は数週間の学習でも一定水準まで習得できますが、業務要件を整理して落とし込む力はツールの経験だけでは補えないため、これまでのSIer・IT企業での実務経験を、ローコード案件に転用できる形で言語化しておくことが重要です。
案件単価はどの程度が目安か
ローコード開発コンサルタント固有の単価統計は現時点で確立されていませんが、参考として同じIT/SaaS企業向けのコンサル案件全体の月額単価水準は110万〜160万円程度とされています(出典:ドメイン知識ベース「業種別のフリーコンサル月額単価」)。実際のローコード案件の単価は、要件定義・設計を担う上流工程か、保守・追加開発を担う下流工程かによって、この水準から上下に振れると考えられます。上流工程を一人称で担った実績があるかどうかは、単価交渉の際にも確認されやすいポイントです。
出典・参考情報
- IPA(情報処理推進機構) DX SQUARE「ノーコード/ローコード開発とは?」(2026年9月確認):ローコード開発の定義に関する根拠
- IPA(情報処理推進機構)「DX動向2025」(2025年6月26日発表・2026年9月確認):システム開発の内製化がDX推進の論点であることに関する根拠
- IT Leaders「ローコード/ノーコード開発ツール導入シェア1位は『GeneXus』、導入予定1位は『kintone』─ノークリサーチ」(2024年1月29日発表・2026年9月確認):ツール別の導入シェアに関する根拠
- ドメイン知識ベース(社内編集部が運用する単価相場ファクト集):案件獲得の基本ルート/最初に登録すべきエージェントの考え方/ProConnectの公開情報/業種別のフリーコンサル月額単価/高度人材の構造的不足(各2026年時点の集計)
本記事は2026年9月15日時点の情報に基づきます。ツールの機能・料金や案件動向は変動するため、実際の契約・参画にあたっては最新情報をエージェント担当者や各ツールの公式サイトにご確認ください。個別の税務・法務判断が必要な場合は、税理士・弁護士など専門家にご相談ください。
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