LegalTechコンサルタントがフリーランスで案件を獲得するには、エージェント2〜3社への登録を土台に、前職や元同僚からのリファラルを並行させ、直取引は実績ができてから少数試す、という順序で動くのが現実的です。加えて、契約書レビューAIや電子契約サービスといったツール名ではなく、導入から定着までのどの工程を担ったかを実績として示せるかが、選考の通過しやすさを左右します。本記事では、案件獲得の基本ルート、評価される実績の作り方、獲得までの期間の考え方、掛け持ちの注意点を順に整理します。
LegalTechコンサルタントの案件獲得方法|フリーランスが実践すべきこと
LegalTechコンサルタントの案件獲得方法まとめ
LegalTechコンサルタントの案件獲得は、エージェント経由を土台にリファラルを並行し、直取引は実績後に少数とする3本柱で進めるのが基本です。
大手企業・上場企業・コンサルファームは、与信、購買規定、機密保持、請求処理の都合から、フリーランス個人と直接契約しないケースが多く、法人であるエージェントを挟む3者間契約が実務上の基本とされています(出典:ドメイン知識ベース「案件獲得の基本ルート」)。契約書や社内規程など機密性の高い情報を扱うLegalTech領域では、発注側が情報管理の確認を厳格に運用する傾向があり、この構造がなおさら働きやすいと考えられます。

フリーランスエージェント経由で案件を獲得する
エージェント経由の獲得では、総合型1〜2社と自分の専門領域に強い特化型1社を組み合わせた、合計2〜3社への登録が定石です。
併用の目的は、選択肢を広げて相場感をつかむこと、稼働が途切れるリスクを分散すること、非公開案件への露出を増やすことの3点です。4社以上に広げると連絡や面談の管理負担が増えるため、まずは2〜3社に絞ることをおすすめします(出典:ドメイン知識ベース「最初に登録すべきエージェントの考え方」)。
LegalTech領域は案件の数がITコンサル全般ほど多くないと考えられるため、登録時のプロフィールでは「契約書レビュー」のような広い言葉だけで済ませず、電子契約、契約管理システム、電子帳簿保存法対応といった具体的な領域名を書いておくと、担当者が案件を紹介しやすくなります。各社の特徴や選び方は、LegalTechコンサルタントのフリーランスエージェント比較記事で整理しています。
人脈・リファラルで案件を獲得する
リファラルは、エージェント登録と並行して前職の上司や元同僚、取引のあったLegalTechベンダーに声をかけて進めるルートです。
法務は人の入れ替わりが比較的少なく、担当者同士が顔見知りであることも珍しくないため、過去の仕事ぶりを知る相手からの紹介は信頼の面で有利に働きやすいと考えられます。一方で、紹介案件であっても、発注側の購買規定によっては法人を挟む契約を求められる場合があります。その際は、紹介元と相談のうえで、エージェント経由の契約に切り替える選択肢も残しておくと、案件が流れるリスクを減らせます。
直取引は、こうした実績と信用が積み上がった段階で少数から試すのが現実的です。「営業力があれば直契約で単価を上げられる」という考えだけに頼ると、与信の要件で交渉の席に着けないことがあります(出典:ドメイン知識ベース「案件獲得の基本ルート」)。
LegalTech分野で評価される実績の作り方
LegalTech分野で評価される実績は、使ったツール名ではなく、導入から定着までのどの工程を担い、何が変わったかを示せる実績です。
たとえば「契約書レビューAIの利用経験あり」という記載は、利用者としての経験にとどまり、他の候補者との差が出にくくなります。これに対し、「契約類型ごとの審査観点を整理し、レビューの流れを設計して現場に定着させた」のように、要件整理、ツール選定の支援、運用ルール設計、定着支援のどこを担ったかまで書くと、発注側がイメージしやすくなります。守秘義務でクライアント名を出せない場合は、業種や企業規模を匿名化した粒度で伝え、守秘義務の範囲内であることを添えれば十分です。

電子契約・電子帳簿保存法対応や法務部門の人手不足を背景にリーガルDXコンサルの外部活用が進んでいる
電子契約の普及と電子取引データの保存義務化が重なり、法務部門の負担が増えやすいことが、リーガルDXコンサルの外部活用が進む背景と考えられます。
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の「企業IT利活用動向調査2026」(2026年1月実施)では、電子契約の利用率が80.2%と、2025年調査の78.3%から上昇し、初めて8割を超えたと報告されています(出典:JIPDEC「企業IT利活用動向調査2026」)。導入企業が約8割に達すると、案件の中心は「導入するかどうか」から、運用ルールの整備や既存の契約管理との接続、社内への定着へ移っていくと考えられます。実績を作る際も、導入の企画だけでなく、導入後の運用設計に関わった経験があると評価されやすくなります。
もうひとつの論点が、電子帳簿保存法への対応です。国税庁は、令和6年1月1日以後に行う電子取引については、所定の要件を満たして電子取引データを保存する必要があるとしています(出典:国税庁「電子取引データ保存義務化について」)。契約書や請求書をメール添付やクラウドサービスで授受する企業では、契約の管理と税務上の保存を別々に考えられなくなり、法務、経理、情報システムをまたぐ整理が必要になりやすいと考えられます。この横断部分を整理した経験は、実績として示しやすい強みです。
ただし、業務の範囲には注意が必要です。弁護士法第72条は、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁、和解その他の法律事務を取り扱うことを業とすることを禁じています(出典:日本弁護士連合会「業際・非弁・非弁提携対策」)。法務省は、AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスと弁護士法第72条の関係について、令和5年8月にガイドラインを公表し、令和8年8月21日に新たなガイドラインで内容を補完・拡充しています(出典:法務省「弁護士法(その他)」)。実績を書く際も、個別の契約の有効性を判断した、紛争で交渉を代理した、といった表現は避け、体制設計、運用ルール整備、ツール導入の支援といったプロセス面の実績として整理することをおすすめします。具体的な線引きは案件ごとに異なるため、判断に迷う場合は弁護士に相談してください。
案件獲得までの平均期間と成功のコツ
案件獲得までの平均期間を示す公的な統計は見当たらず、登録から契約までの期間は案件の選考段階や発注側の手続によって大きく変わるため、余裕を持った計画が必要です。
期間が延びやすい要因として、エージェントとの面談、発注企業の面談、機密保持契約や与信確認などの契約手続が挙げられます。特に法務領域は機密性の高い情報を扱うため、契約手続に時間がかかる場合があると考えられます。なお、フリーコンサル案件の契約期間は3〜6カ月が一般的とされ、約7〜8割が準委任契約です(出典:ドメイン知識ベース「業務委託契約の形態(準委任が主流)」)。契約が数カ月単位で区切られる以上、稼働中から次の案件を探し始める設計にしておくと、空白期間を短くしやすくなります。
成功のコツとして実務上効果が高いのは、次の3点です。
- 領域名を具体的に書いたプロフィールを、登録先すべてで統一しておく
- 面談では、ツール名ではなく担当した工程と、その判断理由を説明できるようにしておく
- 稼働中の契約終了時期を見据え、リファラル先への近況共有を定期的に行う
年収の見通しを立てる際は、空白期間を織り込む必要もあります。年間のアベイラブル(空白)期間を2カ月程度、稼働率にして約83%を前提に試算するのが一般的とされています(出典:ドメイン知識ベース「稼働形態と複業・アベイラブルの実態」)。提示単価を単純に12倍した金額を年収の目安にしないことが大切です。
複数案件を掛け持ちする際の注意点
複数案件を掛け持ちする際は、守秘義務、競業の範囲、稼働時間、支払条件の4点を契約前に確認することが欠かせません。
稼働率が40%未満の低稼働案件など、掛け持ちを前提にできる案件もあり、稼働が20〜50%程度の案件では複数案件の同時進行が可能とされています(出典:ドメイン知識ベース「稼働形態と複業・アベイラブルの実態」)。ただし、LegalTech領域では、競合関係にあるベンダーや同業の事業会社の案件を同時に受けると、守秘義務や競業避止の条項に抵触するおそれがあります。契約書の該当条項を確認し、不明点は契約前に発注側かエージェントの担当者に質問しておきましょう。

稼働時間の面では、合計の稼働が自分の処理できる範囲を超えないよう、案件ごとの想定稼働を事前に見積もっておくことが重要です。支払条件についても、フリーランス新法により、支払サイトは原則60日以内に制限されています。標準は月末締め翌月末払い(約40日)とされるため、複数案件で入金時期が重なったり空いたりしないか、キャッシュフローを確認しておくと安心です(出典:ドメイン知識ベース「報酬支払サイトの標準と最速水準」)。あわせて、法人クライアントとの取引が中心になるため、インボイス制度への対応も実務上ほぼ必須とされています(出典:ドメイン知識ベース「消費税・インボイス制度の一般的扱い」)。税務や契約の個別判断が必要な場合は、税理士や弁護士などの専門家に相談してください。
まとめ:LegalTechコンサルタントとして案件を継続的に獲得する
LegalTechコンサルタントとして案件を継続的に獲得するには、エージェント2〜3社を土台にリファラルを並行し、工程で語れる実績を積み重ねることが基本です。
要点は次の4つです。
- 案件獲得はエージェント経由を土台に、リファラルを並行し、直取引は実績後に少数で試す
- 実績は、ツール名ではなく担った工程と運用設計まで書く
- 獲得までの期間は案件ごとに変わるため、稼働中から次の案件を探し始める
- 掛け持ちは、守秘義務、競業、稼働時間、支払条件を契約前に確認する
まずは、専門領域を具体的に書いたプロフィールを作り、エージェントへの登録から始めてみてください。エージェント選びはLegalTechコンサルタントのフリーランスエージェント比較記事、単価の目安はLegalTechコンサルタントの単価相場の記事もあわせて参考にしてください。
出典・参考情報
- JIPDEC「企業IT利活用動向調査2026」(2026年1月実施・2026-09-30参照):電子契約の利用率の出典
- 国税庁「電子取引データ保存義務化について」(2026-09-30参照):電子取引データの保存に関する出典
- 日本弁護士連合会「業際・非弁・非弁提携対策」(2026-09-30参照):弁護士法第72条の内容の出典
- 法務省「弁護士法(その他)」(2026-09-30参照):AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスと弁護士法第72条に関するガイドラインの公表時期の出典
- ドメイン知識ベース「案件獲得の基本ルート」「最初に登録すべきエージェントの考え方」(コンサルタントの歩み編集部・2026年9月時点):案件獲得の順序とエージェント登録社数の出典
- ドメイン知識ベース「業務委託契約の形態(準委任が主流)」「稼働形態と複業・アベイラブルの実態」「報酬支払サイトの標準と最速水準」「消費税・インボイス制度の一般的扱い」(コンサルタントの歩み編集部・2026年9月時点):契約形態、稼働率、支払サイト、インボイスの出典
本記事の最終更新日:2026年9月30日。本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、業務範囲の適法性や税務などの個別判断が必要な場合は、弁護士・税理士など専門家にご相談ください。
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