経営企画コンサルタントのフリーランスに将来性はあるか|需要の見通しと必要なスキル

経営企画コンサルタントのフリーランスに将来性はあるか|需要の見通しと必要なスキル

経営企画部門で中期経営計画や事業ポートフォリオ管理に携わってきた人が独立を考えるとき、まず気になるのは需要が続くかどうかです。結論から言うと、経営企画領域の外部人材活用は事業承継やM&A後の統合対応を背景に広がっており、生成AIが普及した後も判断や調整を伴う仕事は残ると考えられます。本記事では需要の見通し、価値が下がりにくい仕事、必要なスキル、キャリアパスの4つの観点から将来性を整理します。

経営企画コンサルタントの需要は今後どうなるのか

経営企画コンサルタントの需要は、事業承継やM&A後の統合対応を中心に拡大が見込まれます。国内コンサルティング市場は2024年度で2兆3,422億円、前年度比+17.0%まで拡大しており(出典:consul.global『コンサル市場規模2025年版』)、経営に関わる専門人材へのニーズ全般が底堅く推移していると考えられます。特に中堅企業では、後継者を確保できないまま外部人材に経営企画機能を委ねる動きが増えています。

中堅企業が経営企画機能を外部人材に委ね、事業承継やPMI対応で経営参謀型の起用が増えている

後継者不在に直面する中堅企業ほど、経営企画の実務を外部人材に委ねる傾向が強まっていると考えられます。

帝国データバンクの調査によると、全国企業の後継者不在率は2025年に50.1%となり、前年から2.0ポイント低下して7年連続で改善しました(帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」)。一方で、事業承継の担い手としては内部昇格が36.1%となり、同族承継の32.3%を2025年速報値で初めて上回っています。M&Aほかが20.6%、外部招聘が7.6%を占め、親族以外が承継する「脱ファミリー」化が加速しています(同調査)。

内部昇格や外部招聘によって経営者が交代する局面では、後任が経営企画の実務に不慣れなことが少なくありません。中期経営計画の作り直しや事業ポートフォリオの再整理、M&A後の統合(PMI)対応など、平時より負荷が高い業務が集中しやすく、その期間に限って外部の経営企画コンサルタントを起用する企業が増えていると見られます。

発注側が外部人材に期待する役割の変化

発注企業が外部人材に求める役割は、単純な作業の肩代わりから、経営判断に近い場所での助言へと広がりつつあります。

戦略・DX・IT・データ・AIといった高度人材の絶対数不足が需要を押し上げている背景があり、企業がプロジェクト単位で専門人材を活用する動きが拡大しています(出典:コンサルGO)。経営企画領域も例外ではなく、中期経営計画の骨子案づくりや取締役会向け資料のレビューなど、意思決定に近い工程まで担当を求められる案件が増えていると考えられます。単なる作業者としてではなく、経営陣の議論に耐える論点整理ができるかどうかが、依頼される業務の幅を左右します。

事業承継の担い手比率(内部昇格・同族承継・M&Aほか・外部招聘)を示すホワイトボードの図解

経営企画領域で価値が下がりにくい仕事とは

経営企画の仕事のうち、定型化しやすい部分は代替が進みやすく、判断や調整を要する部分は価値が下がりにくいと考えられます。

中期経営計画の策定と事業ポートフォリオ管理のうち定型化しやすい部分

外部環境データの収集や財務シミュレーションのひな形づくりは、定型化が進みやすい領域です。

中期経営計画の策定では、市場データの収集・整理、財務モデルのフォーマット作成、他社の開示資料のベンチマーク一覧化といった作業は手順が決まっており、テンプレート化や自動化との親和性が高い部分です。事業ポートフォリオ管理でも、各事業のROICや成長率を一覧表にまとめる集計作業は同様に定型化しやすいと言えます。

予実管理とKPIマネジメントの仕組みづくりのように判断と調整が要る部分

予実管理の仕組みをどう設計し、どのKPIを経営会議に上げるかという判断は、人が担い続けやすい領域です。

数値を集計するだけであれば自動化できても、どの部門のどの指標を経営会議で扱うべきか、乖離が出たときにどの部署にどう説明を求めるかという設計や調整には、社内の力学を踏まえた判断が要ります。事業部門ごとに利害が異なる中でKPIの定義をすり合わせる作業も、対話を重ねながら進める必要があり、代替が進みにくい部分だと考えられます。

自動化・生成AIの普及が経営企画の仕事に与える影響

生成AIの企業利用は急速に広がっていますが、経営企画の仕事全体が代替されるわけではないと考えられます。

総務省「令和7年版情報通信白書」によると、企業の生成AI利用は2024年度に「積極的に利用している」「利用している」の合計で49.7%となり、2023年度の42.7%から拡大しました。業務分野別では人事考課(55.2%)や営業補助・提案資料作成(47.3%)といった、定型的な資料作成やデータ処理を伴う分野で活用が進んでいます(同白書)。

置き換わりやすい作業

資料の下書き作成や定型的なデータ集計は、生成AIによる置き換えが進みやすい作業です。

会議資料のたたき台作成、他社事例のリサーチ整理、財務データの一次集計といった、手順とアウトプットの形が決まっている作業は、生成AIとの相性が良く、今後さらに自動化が進むと見られます。

人が担い続ける可能性が高い領域

経営陣や各部門との合意形成、責任を伴う最終判断は、当面は人が担い続けると考えられます。

生成AIが作成した分析やたたき台をそのまま経営会議に出せることは少なく、社内の力学や過去の経緯を踏まえて内容を調整し、関係者の納得を得るプロセスが必要になります。誰の責任で意思決定するかが問われる場面でも、最終的な判断とその説明は人が担う領域として残りやすいと言えます。

自動化されやすい定型作業と、人が担い続ける判断業務を左右のトレーで対比した図解

経営企画コンサルタントとして生き残るためのスキル要件

生き残るには、経営会議で通用する論点整理力と、隣接領域まで対応できる幅の両方が求められると考えられます。

経営会議に耐える論点整理と資料化の深め方

経営会議に出しても崩れない論点整理ができるかどうかで、任される案件の幅が変わってくると考えられます。

編集部が経営企画領域の案件条件を確認したところ、論点整理と資料化の実績を具体的に示せる人材ほど、より裁量の大きい案件を任される傾向が見られました。資料の見栄えだけでなく、反対意見が出た場合の想定問答まで用意できているかどうかが、経営会議に耐える資料かどうかの分かれ目になると考えられます。

深め方の一例として、結論を先に置き、根拠となるデータと想定される反論をセットで整理する構成に慣れておくことが挙げられます。経営会議で使われる資料の型を数多く見て、どの粒度まで踏み込めば議論が前に進むかを掴んでおくことも役立ちます。

隣接領域への広げ方

経営企画単体にとどまらず、財務やPMI、DXなど隣接領域に対応範囲を広げておくと、案件の選択肢が増えると考えられます。

経営企画の実務は、財務モデリングやM&A後の統合(PMI)、全社的なDX推進など隣接領域と重なる部分が多くあります。これらの領域まで対応できると案件の幅が広がり、単価にも影響が出ると考えられます。経営企画コンサルタントのフリーランス単価相場では、経験年数や対応領域による単価レンジの違いを整理しているので、あわせて参考にしてください。

経営企画のフリーランスが描けるキャリアパス

経営企画のフリーランスのキャリアは、専門特化型と越境型に大きく分かれ、常勤に戻る選択肢も残されています。

専門特化型と越境型の違い

専門特化型は特定の業界・機能を深掘りし、越境型は複数の業界・機能を横断して案件を獲得するキャリアです。

観点

専門特化型

越境型

強み

特定業界・機能への深い理解

複数案件から得た横断的な知見

案件の探し方

業界特化のつながりや紹介が中心

複数のエージェントを併用し案件の幅を確保

リスク

対象業界の景気変動の影響を受けやすい

専門性の訴求がぼやけやすい

どちらが優れているというより、自分がどの程度の期間フリーランスを続けたいか、案件が途切れたときにどこまでリスクを取れるかによって選び方が変わってくると考えられます。経営企画コンサルタントとして独立する際の具体的な手順については経営企画コンサルタント フリーランス 独立ガイドで解説しています。

常勤ポジションに戻る選択肢

フリーランスを続けた後に常勤ポジションへ戻る選択肢も、現実的な進路の一つです。

フリーコンサルタントの単価は50歳前後をピークに下がる傾向があるとされており、稼働を続けられる期間には限りがあります。また、フルリモート案件や週2〜3出社のハイブリッド案件が増えている一方で、年収試算では年間アベイラブル(空白)期間を2カ月程度、稼働率にして約83%を前提に置くのが一般的で、常に100%稼働が続くわけではありません。案件が途切れる時期が重なると収入が不安定になりやすく、そのタイミングで常勤ポジションに戻る決断をする人も一定数存在すると考えられます。独立から数年経った頃に直面しやすい課題についてはコンサルタントがフリーランス2年目に直面する壁と対策で扱っているので、あわせて確認しておくと判断の材料になります。

専門特化型と越境型という2つのキャリアパスの分岐を示す道と道標のイラスト

経営企画コンサルタントのフリーランスに向いている人・向いていない人

向いているかどうかは、実績の言語化への抵抗感と、働き方の希望が案件の実態に合っているかで見極められると考えられます。

社内調整の比重が大きく、成果が定量化しにくいので実績の言語化に工夫が要る点を許容できるか

経営企画の実務は成果を数値だけで示しにくいため、実績を言葉で説明する工夫が要ります。

営業やエンジニアリングの職種と違い、経営企画の仕事は「売上を何%伸ばしたか」のように単純な数値で成果を語りにくい性質があります。社内調整や合意形成に費やした時間は目に見えにくく、成果物として残るのは資料や議事録程度ということも珍しくありません。案件を獲得する場面では、担当した論点や調整の内容を具体的なエピソードとして言語化する準備が必要になり、この作業を負担に感じるかどうかは、向き不向きを分ける一つの目安になると考えられます。

働き方の希望と案件の実態が合っているか

フルリモートや週数日稼働を望む場合は、希望と案件の実態が合っているかを事前に確認しておく必要があります。

経営企画領域の案件は経営陣や複数部門との調整を伴うことが多く、フルリモートでも定例会議への同期的な参加を求められる場合があります。稼働日数や出社頻度の条件は案件ごとに幅があるため、希望する働き方に近い案件を扱っているエージェントを見極めることが実務上重要です。経営企画出身者がフリーランスコンサルタントとして独立する際のエージェント比較では、経営企画領域の案件を扱うエージェントの違いを整理しているので参考にしてください。

よくある質問

経営企画未経験でもフリーランスの経営企画コンサルタントとして案件を獲得できますか

経営企画部門での実務経験がないまま案件を獲得するのは難しい場合が多いと考えられます。中期経営計画の策定や予実管理の実務に携わった経験が案件の前提として求められることが一般的なため、まずは事業会社の経営企画部門や関連するコンサルティングファームで経験を積むことが現実的な進め方です。

経営企画コンサルタントとして独立するのに適した年齢はありますか

フリーランスコンサルタント全体では、独立時の年齢層は20代後半から30代前半が主流とされ、大手ファームを2〜3社経験してから独立するパターンが多いとされています。経営企画領域固有の年齢分布については確認できるデータがありませんが、中期経営計画の立案などを一通り経験した後というのが、独立を検討する一つの目安になると考えられます。

経営企画コンサルタントの将来性を判断するうえで、どのような情報を確認すればよいですか

事業承継やM&Aの動向、生成AIの企業導入状況など、経営環境の変化を示す統計を継続的に確認することが参考になります。加えて、自分が対応できる領域が経営会議に耐える論点整理を求められる案件にどれだけ対応できているかを振り返ることも、将来性を見極める材料になります。個別の判断が難しい場合は、税理士や社会保険労務士など専門家に相談することも検討してください。

出典・参考情報

  1. 帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」(2026-09-13参照)
  2. 総務省「令和7年版情報通信白書」企業におけるAI利用の現状(2026-09-13参照)
  3. consul.global「コンサル市場規模2025年版」(2026-09-13参照)
  4. consul.global「フリーランスコンサルタントの独立・キャリアに関する解説」(2026-09-13参照)
  5. コンサルGO「PMO案件に関する解説」(2026-09-13参照)

本記事のデータは2026年9月時点の情報に基づきます。市場環境や統計値は変動するため、最新情報は各出典元や専門家に直接ご確認ください。

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