データドリブン経営の支援案件|経営ダッシュボード設計の進め方

データドリブン経営の支援案件|経営ダッシュボード設計の進め方

データドリブン経営の支援案件は、経営層が決めたいことを先に聞き取り、その判断に必要な指標だけをダッシュボードに載せる設計ができるコンサルタントに依頼が集まります。この記事では、フリーランスのコンサルタントとして、データ活用や経営ダッシュボードの設計を支援する案件に入りたい方に向けて、案件で目指す状態、設計の進め方、BIツールの運用定着、案件の探し方、経営層との信頼の築き方を順に整理します。実務の手順は、案件の初回ヒアリングから最初の報告までそのまま使える粒度で書いています。

データドリブン経営支援の案件で目指す状態

データドリブン経営支援の案件で目指す状態は、経営会議や部門の定例で「このグラフを見て、この判断をした」と説明できることです。

データ活用案件の依頼文には「データを可視化したい」「BIツールを導入したい」と書かれがちです。ただ、依頼元が本当に困っているのは、数字が出てくるのが遅い、部門ごとに数字の定義が違う、会議で数字を見ても結論が出ない、といった意思決定の場面の問題です。可視化やツール導入は手段であり、コンサルタントが引き受けるのは、判断の質と速さを上げることだと捉えると、提案の軸がぶれません。

意思決定に使える指標の整備

意思決定に使える指標とは、その数字が動いたときに誰が何をするかが決まっている指標のことです。

たとえば「月次売上」だけでは、下がったときに何をするのかが決まりません。「新規受注件数」「既存顧客の継続率」「見積から受注までの日数」のように、動いたときの打ち手が思い浮かぶ粒度まで分けて初めて、経営の判断材料になります。案件の初期には、既存のレポートに載っている指標を1つずつ取り上げ、「この数字が悪化したら誰が何をしますか」と確認します。答えられない指標は、ダッシュボードの第1画面から外す候補になります。

あわせて、指標の定義を文書にそろえます。売上を「受注ベース」で見るのか「請求ベース」で見るのかが部門ごとに違うと、同じ会議で別の数字が並びます。定義のずれを解消することが、データ活用案件の最初の成果になる場面は少なくありません。

部門ごとのKPIの接続

部門ごとのKPIの接続とは、経営の目標から各部門の指標までを、因果の線でつなぎ直す作業です。

営業部門は受注額、マーケティング部門はリード数、カスタマーサクセス部門は解約率を追っていても、それぞれが経営目標にどう効くのかが見えなければ、部門間で数字の綱引きが起きます。経営目標を起点に、先行して動く指標と結果として動く指標に分けて並べると、どの部門の数字がどの数字に効くかが見え、ダッシュボードの画面構成も決まります。考え方の土台は、KPIツリーの作り方で整理しています。

経営ダッシュボード設計の進め方

経営ダッシュボード設計の進め方は、見たい意思決定を洗い出し、必要な指標を決め、その指標を作れるデータソースを確認する順番です。画面のデザインから入ると、作り直しが何度も発生します。

進め方を、次の4つの段階に分けて案件に組み込みます。

  1. 意思決定の洗い出し:経営会議で扱う議題を一覧にし、「何を判断するか」を書き出します。入力は議事録と経営層へのヒアリングで、出力は意思決定の一覧です。
  2. 指標の確定:各意思決定に必要な指標を1〜3個に絞り、定義と更新頻度を決めます。出力は指標定義書です。
  3. データソースの確認:指標ごとに元データの所在と取得方法を確認します。出力はデータソース一覧です。
  4. 画面の試作と見直し:手書きやスプレッドシートで画面を試作し、経営層に見せて修正します。出力は承認された画面案です。
意思決定の洗い出し、指標の確定、データソースの確認、画面の試作の4段階が矢印でつながった設計手順の図

見たい意思決定の洗い出し

見たい意思決定の洗い出しでは、経営層が定例の場で実際に下している判断を、頻度と締切とセットで書き出します。

ヒアリングでは「どの数字が見たいですか」と聞くよりも、「先月の会議で何を決めましたか」「決めるときに足りなかった情報は何ですか」と聞くほうが、必要な指標が出てきます。数字の希望を聞くと、経営層は思いつく指標を並べるだけで、後から使われない画面になりやすいためです。次の表は、洗い出した結果をまとめるときの記載例です(説明のための架空の例です)。

意思決定

判断の頻度

必要な指標

見る人

営業人員の配置換え

四半期ごと

担当者別の商談数・受注率

営業担当役員

広告予算の増減

月次

チャネル別の獲得単価・受注までの日数

マーケティング責任者

既存顧客への施策の追加

月次

契約更新率・利用の減少が見られる顧客数

事業部長

データソースの整理

データソースの整理とは、決めた指標を作るための元データが、どこに、どの形式で、誰の管理で存在するかを一覧にすることです。

中堅企業では、営業データは営業支援ツール、会計データは会計システム、顧客データは別のスプレッドシート、というように分散していることが多くあります。一覧には、データの所在、更新頻度、担当者、取り出し方(自動連携・手作業での出力など)、欠損や重複の有無を書きます。ここで「指標は決まったがデータが存在しない」ことが判明する場合があります。その際は、ダッシュボードの前に、データを集める仕組みの整備を案件の範囲に含めるかどうかを、依頼元と合意します。

手作業での出力に頼る指標は、更新が止まりやすい弱点です。第1段階のダッシュボードは、自動で取れる指標だけで作り、手作業の指標は第2段階に回す、と段階を分けると、早く動かせます。

BIツール導入と運用定着の勘どころ

BIツール導入で成果が分かれるのは、ツールの選定よりも、導入後に誰が更新し、誰が見直すかを決めているかどうかです。

ツール自体は、Tableau、Power BI、Looker Studioなど、どれも基本的な可視化はできます。選定では、依頼元がすでに使っているクラウドや表計算ソフトとの相性、利用者数に応じた費用、社内に使える人がいるかを確認すれば足ります。コンサルタントの価値が出るのは、導入後の運用を設計する部分です。

権限設計と更新運用

権限設計と更新運用では、誰がどの数字を見てよいかと、データを誰がいつ更新するかを、導入前に決めます。

権限は、経営層向けの全社画面、部門長向けの部門画面、担当者向けの詳細画面の3層に分けると整理しやすくなります。人事情報や個別の取引条件のような機微な数字は、閲覧できる人を限定します。更新運用では、データの更新頻度、更新が止まったときの連絡先、指標定義を変えるときの承認者を決めておきます。担当者が異動すると更新が止まる、という失敗が多いため、更新作業は個人に紐づけず、手順書とバックアップ担当者を置きます。

特に、指標の定義変更は、過去の数字との比較に影響します。変更履歴を残す運用にしておくと、経営会議で「去年の数字と定義が違うのでは」という指摘に答えられます。

使われないダッシュボードの見直し

使われないダッシュボードは、利用状況を測って、見られていない画面を減らすことで見直せます。

導入から数か月がたつと、作った画面の多くが開かれなくなります。BIツールには閲覧回数や閲覧者を確認できる機能があるため、月次で確認して、ほとんど見られていない画面は統合するか廃止します。画面を足すより、減らす判断のほうが、運用定着には効きます。あわせて、閲覧されない理由を利用者に聞きます。数字が信用できない、見る時間がない、見ても次の行動が決まらない、のどれなのかによって、直すところが変わります。

経営層向け・部門長向け・担当者向けの3層の画面と、それぞれの更新頻度と担当を示した運用設計の図

データ活用案件の探し方

データ活用案件は、データ基盤を持ちながら活用が進んでいない中堅企業と、BIツールの導入を進めるベンダーのパートナー案件の2つの入口から探すのが現実的です。

どちらの入口でも、独立したばかりのコンサルタントが大手企業と直接契約を結ぶことは多くありません。大手企業や上場企業は、与信や購買規定、機密保持、請求処理の都合から、個人と直接契約せず、エージェントなどの法人を挟んだ3者間契約になるケースが多いためです。探す順番としては、まずエージェントに2〜3社登録し、並行して過去の取引先や同僚の紹介を使い、直接契約は実績ができてから少数を持つ、という流れが基本になります。エージェント経由の案件は、公開されていない案件に出会う手段でもあります。比較の観点はフリーランスコンサルタント向けエージェント完全比較にまとめています。

データ基盤を持つ中堅企業

データ基盤を持つ中堅企業とは、データウェアハウスや業務システムのデータはあるものの、経営の意思決定に使う形に整っていない会社です。

こうした会社の依頼は、「データ基盤は作ったが現場が使わない」「部門ごとに数字がばらばらで経営会議が進まない」といった相談として現れます。基盤の構築そのものよりも、基盤の上に載せる指標と画面、運用の設計が求められているため、前の章で整理した進め方がそのまま提案の骨格になります。データ基盤の側から入る案件についてはデータ基盤構築コンサルタントの案件獲得方法でも触れています。

BIベンダーのパートナー案件

BIベンダーのパートナー案件とは、BIツールの提供会社や導入支援会社が、顧客への導入プロジェクトの一部を外部のコンサルタントに任せる案件です。

要件整理、指標設計、ダッシュボード開発、利用者への説明会といった工程ごとに、スポットで人を探すことがあります。特定のツールに詳しいほど声がかかりやすい反面、そのツールの流行に単価が左右されます。ツールの経験に加えて、指標設計や定着支援といったツールに依存しない経験を示せるかどうかが、継続して案件を得る条件になります。データ分析寄りの案件の探し方はデータ分析コンサルのフリーランス案件の種類と探し方にもあります。

案件の単価は、領域や経験によって幅があります。2026年時点の目安として、AI・データ領域は月額160〜220万円、金融は160〜220万円、製造は140〜200万円、IT・SaaSは110〜160万円とされています(いずれも100%稼働換算の目安で、案件ごとに異なります)。提示される単価は稼働率100%を前提にした金額なので、実際の収入は稼働する月数や稼働率で変わります。契約は準委任契約が中心で、成果物の完成義務を負わず、月額と稼働率、期間(3〜6か月程度)で決まる形が多くなっています。低稼働の案件を並行して持つ働き方もあります。

エージェント経由、紹介、直接契約の3つの案件の入口を、登録の順番と契約の相手の違いで並べた比較図

データ活用案件で経営層の信頼を得るコツ

経営層の信頼を得るコツは、早い時期に小さな成果を見せることと、専門用語を使わずに数字の意味を説明することの2つです。

データ活用の案件は、成果が出るまでに時間がかかる印象を持たれやすく、数か月たっても画面が完成しないと、経営層の期待が下がります。信頼は、技術力の説明ではなく、経営層が自分の言葉で数字を語れるようになるかどうかで決まります。

小さな成果を早く出す

小さな成果を早く出すとは、案件の最初の数週間で、1つの意思決定に絞った試作の画面を経営層に見せることです。

全社の指標を一度に整えようとせず、最も困っている1つの判断に絞ります。たとえば「広告予算の増減を決める月次会議」だけを対象にして、必要な3つの指標を、手元の表計算ソフトで作った画面で見せます。ツールの導入前でも、実データを使った試作を見せれば、経営層は具体的な改善点を出せます。そこで出た意見を取り込みながら本番の画面へ移行すると、完成時の手戻りが減り、案件の継続や範囲の拡大につながります。

専門用語を使わない説明

専門用語を使わない説明とは、データの技術用語を、経営層が普段使う言葉に置き換えて数字の意味を伝えることです。

たとえば「データのクレンジング」は「同じ顧客が二重に数えられているのを直す作業」、「ETL」は「各システムの数字を毎晩自動で集めて整える仕組み」のように言い換えます。報告のときは、数字の増減だけでなく「この数字が下がっているので、この判断を検討してください」と、判断との結びつきまで言い切ると、会議の時間が短くなります。断定できない内容は、「〜の可能性があります」と留め、根拠となるデータの範囲も添えます。

次の表は、案件で確認する判断軸をまとめたものです。依頼を受ける前と、提案の前に使えます。

判断軸

確認すること

避けたい状態

意思決定の明確さ

ダッシュボードで支えたい判断が1つ以上、言葉になっているか

「とにかく可視化したい」だけで判断が決まっていない

指標の定義

売上などの主要指標の定義が部門間でそろっているか

部門ごとに数字が違い、定義の合意に時間がかかる

データの所在

主要な指標の元データを取り出せる担当者がいるか

元データの管理者が不明で、取得に何週間もかかる

運用の担い手

導入後に更新と見直しを担う人が決まっているか

コンサルタントの契約終了後に更新が止まる

契約の範囲

準委任の月額と稼働率、期間、成果物の扱いが書面で決まっているか

範囲が曖昧なまま、追加の依頼が積み上がる

出典・参考情報

単価・契約形態・案件獲得の流れに関する記述は、編集部がエージェント経由の実績データや公開されている案件情報をもとに整理した目安です。

本記事は2026年10月時点の情報に基づく一般的な解説です。表中の記載例は説明のための架空の例であり、実在する企業の実績ではありません。契約や税務に関わる判断は、弁護士・税理士などの専門家に確認することをおすすめします。最終更新日:2026年10月9日。

Powered by Proconnect
PMO・DX・SAP系コンサルタント案件を無料で探してみる

スキルシートを登録するだけ。専任エージェントが最適な案件を無料でご提案します。

無料でコンサルタント案件を探す
コンサルタントの歩み 編集部

Work-Xが運営するフリーランスコンサルタント向け情報メディア。PMO・BPR・DX・SAP領域の実務情報を発信しています。 運営者情報はこちら。