セキュリティコンサルタントのフリーランス案件の獲得方法|ルート別の使い分けと商談の準備

セキュリティコンサルタントのフリーランス案件の獲得方法|ルート別の使い分けと商談の準備

セキュリティコンサルタントがフリーランスで案件を獲得するには、エージェント経由を軸に据えつつ、インシデント対応体制の構築や運用設計の実績を担当範囲まで踏み込んで語れる状態にしておくことが近道です。本記事では、案件が生まれる企業背景から、案件獲得の5つのルート、実績の語り方、商談で問われる論点、継続案件につなげる動き方、案件が取れないときの見直しポイントまでを、コンサルタントの歩み編集部が実務目線で整理します。

セキュリティコンサルタントのフリーランス案件はどんな企業から出るのか

セキュリティコンサルタントのフリーランス案件は、取引先からのセキュリティ要求やインシデント対応の必要に迫られた中堅企業から生まれるケースが目立ちます。

発注が生まれる典型的な状況

発注が生まれる典型的な状況は、取引先監査への対応・インシデント後の再発防止・新規事業のセキュリティ設計の3パターンに集約されます。大企業との新規取引を始める際にセキュリティチェックシートの提出を求められて対応が必要になった、実際に不正アクセスや情報漏えいが発生して再発防止体制の構築が急務になった、新規事業やクラウド移行に伴いセキュリティ設計を最初から組み込む必要が出てきた、といった状況で外部の専門人材が探されます。社内に専任のセキュリティ担当者を置く余力のない中堅企業ほど、こうした発注のタイミングでフリーランスのセキュリティコンサルタントを探す傾向があります。

サプライチェーン経由の攻撃や取引先からのセキュリティ要求が増え、中堅企業でも体制整備の外部支援需要が伸びている

サプライチェーン経由の攻撃や取引先からのセキュリティ要求が増えており、中堅企業でも体制整備を外部人材に依頼する動きが広がっています。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「情報セキュリティ10大脅威 2026」(組織編・2026年1月29日発表)では、「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が8年連続8回目の選出で第2位にランクインしており(1位はランサム攻撃による被害)、取引先を踏み台にした攻撃への警戒が長期にわたり続いていることがうかがえます(出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」)。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証取得組織数も2026年8月31日時点で全国8,669組織に達しており(出典:ISMS-AC「ISMS認証取得組織数推移」)、大企業からの要求に応じて認証取得や体制整備に動く企業の裾野が中堅層にも広がっている状況がうかがえます。この動きが、社内に専任担当を置く前段階として外部のセキュリティコンサルタントへの相談需要を押し上げる要因になっています。

セキュリティ案件の5つの獲得ルートを示す図解

セキュリティ案件を獲得する5つのルート

セキュリティ案件の獲得ルートは、エージェント経由・直請け・紹介・スポットマッチング・前職からの継続の5つに大別できます。

エージェント経由・直請け・紹介・スポットマッチング・前職からの継続

5つのルートにはそれぞれ特徴があり、案件の見つけやすさと契約条件のすり合わせやすさが異なります。

ルート

特徴

与信・機密保持のハードル

エージェント経由

法人を挟む3者間契約が中心。非公開案件へのアクセス手段にもなる

エージェントが企業側の与信を担保するため低い

直請け

クライアント企業と直接契約

実績・信用がないと契約自体が難しい場合がある

紹介

前職の同僚や取引先からのリファラル

実績を知る相手からの紹介のため選考が早い

スポットマッチング

診断・監査・研修講師等の単発案件

単発のため機密保持の範囲が限定的

前職からの継続

独立前の在籍企業・セキュリティベンダーからの継続委託

関係性があるため低いが守秘義務の再確認が必要

セキュリティ領域でどのルートが機能しやすいか

セキュリティ領域では、機密性の高さゆえにエージェント経由と前職からの継続の2ルートが特に機能しやすい傾向があります。大手企業・上場企業やコンサルティングファームは、与信・購買規定・機密保持・請求処理の都合からフリーランス個人と直接契約しないケースが多く、法人であるエージェントを挟む3者間契約が実務上の基本になっています(出典:ドメイン知識ベース「案件獲得の基本ルート」)。セキュリティ領域はネットワーク構成や脆弱性情報など機密性の高い情報を扱うため、発注側企業がなおさら実績・信用の確認を厳格に運用する傾向があり、この構造がいっそう強く働きます。案件獲得の順序としては、エージェント2〜3社に登録して稼働の土台をつくり、前職・元同僚からのリファラルを並行して探り、直取引は実績と信用ができた段階で少数試すという流れが現実的です(出典:同上)。前職のセキュリティベンダーや事業会社から継続案件を受けられる場合は、守秘義務の範囲を契約で明確にしたうえで並行稼働を検討するとよいでしょう。

インシデント対応体制の構築と運用設計の実績を案件獲得につなげる方法

案件獲得につなげるには、インシデント対応体制の構築と運用設計の実績を、担当範囲と成果が伝わる粒度で言語化することが重要です。

実績の書き方(担当範囲・規模・成果の示し方)

実績の書き方は、個別の作業内容ではなく体制・仕組みを設計した範囲まで踏み込んで書くことが選考通過の近道です。例えば職務経歴書には、「インシデント対応マニュアルを整備し、検知から復旧までのエスカレーションフローを再設計した」「脆弱性管理台帳を導入し、四半期ごとの棚卸しとパッチ適用の運用ルールを構築した」のように、担当範囲・対象規模(従業員数やシステム台数)・成果を1文で示す書き方が実務的です。個別のインシデント対応そのものの経験にとどまる場合と比べて、体制構築や運用設計といった仕組みづくりの経験を実務単位で語れる人材は、参画時の案件条件が有利になる傾向がうかがえます。

守秘義務を守りながら実績を語る表現

守秘義務を守りながら実績を語るには、クライアント名を伏せつつ業種・企業規模・担当工程を匿名化して伝える表現が有効です。「従業員数500名規模の製造業で」「金融系グループ会社のセキュリティ部門で」のように、企業名を明示せず業種・規模の粒度に匿名化して伝えると、守秘義務を守りながらもエージェント担当者や発注企業に実績の解像度を伝えられます。インシデント自体の詳細(攻撃手法や被害範囲の固有情報)には触れず、あくまで自分が担当した体制構築・運用設計のプロセスに絞って語ることが、守秘義務違反のリスクを避けながら実績を伝えるコツです。

セキュリティ案件の商談で必ず問われる論点

セキュリティ案件の商談では、認証取得支援の対応範囲と、稼働条件・成果物・体制のすり合わせが必ず論点になります。

情報セキュリティマネジメント体制の整備と認証取得支援をどこまで担えるかの確認

認証取得支援では、体制構築・文書整備・内部監査準備までが担当範囲で、審査自体は認証機関が担う点の確認が欠かせません。ISMS(ISO/IEC 27001)やプライバシーマークのような第三者認証は、認証機関による審査を経て発行されるため、フリーランスのセキュリティコンサルタントが担えるのはあくまで審査に向けた体制構築・規程文書の整備・内部監査の準備支援までです。「認証取得を代行できるか」という質問が商談で出た場合は、審査自体は認証機関の役割であり、コンサルタントの役割は審査に通る体制を整えるところまでである旨を、契約前にすり合わせておくと後のトラブルを避けられます。

稼働条件・成果物・体制に関するすり合わせ

稼働条件・成果物・体制のすり合わせでは、契約形態が準委任契約であることを前提に、成果物の範囲を事前に明確化しておく必要があります。フリーランスコンサルタント案件の約70〜80%は準委任契約であり、業務遂行そのものに報酬が発生し、成果物の完成義務を負わない契約形態が中心です(出典:ドメイン知識ベース「業務委託契約の形態(準委任が主流)」)。セキュリティ領域でも同様の傾向があり、報酬は「月額◯◯万円×稼働率」で算出されるのが一般的です。商談時には、稼働日数の換算基準(100%稼働換算か実稼働日数ベースか)、常駐かリモートか、報告書や体制図といった成果物の範囲と納品タイミング、契約期間と更新条件を具体的に確認しておくことをおすすめします。

セキュリティ案件の商談で確認すべき対応範囲・稼働条件・成果物・契約期間のチェックリスト図

セキュリティ案件を継続・リピートにつなげる動き方

セキュリティ案件を継続・リピートにつなげるには、契約期間中に次の課題を見つけて提案する動きと、有事対応の条件整理が欠かせません。

契約期間中に次の課題を発見する動き

契約期間中に次の課題を発見する動きが、契約更新や新規案件の紹介につながる最も現実的なリピート施策です。当初の依頼(体制構築や運用設計)を進める過程で、アクセス制御の見直し・委託先管理の不備・教育や訓練の未実施といった関連課題が見えてくることは珍しくありません。これらを都度クライアントに共有し、優先順位をつけて次のフェーズとして提案する動きが、契約更新やクライアント内の別部署からの紹介につながります。

有事の呼び出しが発生しうるため、契約時に対応範囲と時間外の扱いを決めておかないと消耗するへの向き合い方

有事の呼び出しは契約時に対応範囲と時間外の扱いを決めておかないと消耗するため、稼働条件に組み込んで交渉することが重要です。セキュリティ領域の案件は、契約期間中にインシデントが発生した場合、時間外や休日であっても呼び出しを受ける可能性があります。この対応範囲と時間外稼働の扱い(追加報酬の有無、対応時間の上限)を契約時に取り決めておかないと、通常業務に加えて有事対応が積み重なり、消耗してしまう恐れがあります。契約更新時には、直近の稼働実態(有事対応の頻度・時間)を踏まえて条件を見直す交渉をしておくと、継続案件として無理なく続けやすくなります。

契約・運用・課題発見・次の提案という継続案件の循環を示すループ図

案件が取れないときに見直すポイント

案件が取れないときは、提示している専門領域の広さと、単価・稼働条件の設定が市場と合っているかを見直すことが有効です。

提示している専門領域が広すぎないか

専門領域を広く見せすぎると、発注側から見た強みが伝わりにくくなり、選考通過率が下がる傾向があります。「セキュリティ全般対応可能」といった打ち出し方は、一見対応範囲が広く見える一方、発注企業から見ると「結局どこが強いのか分からない」という印象になりがちです。インシデント対応体制の構築、脆弱性管理とアクセス制御の再設計、ISMS認証取得支援など、実務単位で強みを絞って提示したほうが、担当者にも案件の要件と自分の経験を照らし合わせてもらいやすくなります。編集部が実務ヒアリングを重ねたところ、脆弱性管理とアクセス制御の再設計まで担当した実績を明示できるかどうかで、提示される案件条件の幅が変わる傾向がうかがえます。

単価と稼働条件の設定が市場とずれていないか

単価と稼働条件の設定は、稼働率を織り込まずに算出していないか、複数エージェントの提示額と突き合わせて確認する必要があります。提示単価は原則100%稼働換算であり、実際の受注状況によっては稼働率が下がる月も出てきます(出典:ドメイン知識ベース「稼働率と収入の関係」)。単価だけを見て「相場より低い」と判断する前に、稼働日数の換算基準や中間マージンの開示有無を複数のエージェントで確認し、同じ条件で比較することが有効です。また、案件量の多い総合型エージェント1〜2社と専門領域に強い特化型エージェント1社を組み合わせて2〜3社に登録しておくと、案件の選択肢と非公開案件へのアクセスを両立しやすくなります(出典:ドメイン知識ベース「最初に登録すべきエージェントの考え方」)。詳しいエージェントの比較はセキュリティコンサルタント フリーランス エージェント比較を、単価のレンジはセキュリティコンサルタントのフリーランス単価相場を、経歴書の書き方全般はフリーランスコンサルタントの職務経歴書・スキルシートの作り方を、案件獲得の全体像は独立コンサルタントの案件獲得完全ガイドをあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. セキュリティコンサルタントのフリーランス案件は未経験でも獲得できますか。

A. 事業会社の情報セキュリティ部門やセキュリティベンダーでの実務経験が前提になる案件が中心です。インシデント対応や体制構築を3〜10年程度経験した人材が案件獲得の目安とされる場合が多く、未経験からいきなりフリーランス案件を受注するのは難易度が高い傾向があります。

Q. エージェントには何社くらい登録すればよいですか。

A. 目安は2〜3社で、総合型と特化型を分けて選ぶと機能しやすくなります。案件量を確保する総合型を1〜2社、セキュリティ領域の相場感に詳しい特化型を1社という組み合わせにすると、選択肢の広さと非公開案件へのアクセスを両立しやすくなります(出典:ドメイン知識ベース「最初に登録すべきエージェントの考え方」)。

Q. ISMS認証の取得そのものを代行することはできますか。

A. 認証の発行自体は認証機関の審査を経て行われるため、コンサルタントが代行することはできません。担えるのは、審査に向けた体制構築・規程文書の整備・内部監査の準備支援までです。

Q. 直接営業だけで案件を獲得することはできますか。

A. 実績と信用が積み上がった段階であれば直接契約に近づけられる場合もありますが、大手企業・上場企業は与信や購買規定の都合からフリーランス個人と直接契約しないケースが多く、独立初期からエージェントを介さずに案件を確保するのは難易度が高い傾向があります。まずはエージェント経由で稼働の土台をつくることをおすすめします(出典:ドメイン知識ベース「案件獲得の基本ルート」)。

出典・参考情報

  1. IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026年1月29日発表・2026年9月確認):サプライチェーン攻撃の脅威ランキングに関する出典
  2. ISMS-AC(情報マネジメントシステム認定センター)「ISMS認証取得組織数推移」(2026年8月31日時点・2026年9月確認):ISMS認証取得組織数に関する出典
  3. ドメイン知識ベース「案件獲得の基本ルート」「最初に登録すべきエージェントの考え方」「業務委託契約の形態(準委任が主流)」「稼働率と収入の関係」(コンサルタントの歩み編集部・2026年9月時点集計)

本記事は2026年9月5日時点の情報に基づきます。市場状況や制度は変動するため、実際の契約・参画にあたっては最新情報をエージェント担当者にご確認ください。

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